大企業がこぞって参入する「太陽光発電」のメリットを探る

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関東地方でも梅雨空け宣言が出され、いよいよ夏本番。

今年の夏のトピックスといえば、やはり「節電」ではないだろうか。電気料金値上げ、原発再稼動といった問題は、やはり避けては通れないところ。いままで身近にあった「電気」が、これほどまでにクローズアップされる夏もないだろう。そして、ここに来て注目度が上がっているのが「太陽光発電」だ。

そこで、住宅設備コーディネーターで、太陽光発電に詳しい菱田剛志氏に話を聞いた。

「ここ最近、太陽光発電が注目を浴びている要因として、昨年の東日本大震災からの電力不安、さらには原発アレルギーといったものが挙げられていますが、実はここ数年着実に成長してきた分野です。ここに来てあらためて注目を浴びているのは、大企業がこぞってメガソーラー事業に参入したり、太陽光発電系のテレビCMが増えたことも要因でしょう」と語る。

では、実際に太陽光発電設備を自宅に設置するとなるとどの程度の初期費用が必要になるのだろうか。

「一般的な戸建て住宅の屋根に太陽光発電設備を導入するとなると、J-PECが発表しているような平均の4kWくらいで考えると、パネル代と設置料金込みで約200万円ほどになります」。しかし、と菱田氏は続ける。「これはみなさんあまりご存知ないのですが、設置料金には補助金が支給されたり、太陽光で発電した電気は電力会社が買い取ってくれるといったメリットがあるのです。つまり、補助金で設置した太陽光パネルを稼動させることで、利益を生み出すことができるというわけなのです。」

補助金はkWあたり55万円以下が支給され、買取料金はkWあたり42円。おおよその概算でいくと150万円程度で設置して、10年掛からずに初期費用回収の目処がたち、さらには安定した収益を生んでくれるというシステムなのだ。

では、実際に設置するとなると、どういったポイントを見ておくといいのだろうか。
「太陽光発電のカタログを見ていると発電効率という言葉をよく目にします。これはどの程度の日射量で、どの程度の発電をするか、というカタログスペックです。この発電効率よりも、もっと気にしていただきたいのは実際の発電量の「実発電量」です。設置できる屋根の面積は、各家庭で違ってきますので、設置したパネルあたりの発電量に注目していただくといいかと思います。また一般の方はいかに元を早くとれるかを気にしている方が多いですが、実際の発電量(実発電量)が多くて、初期費用が安いほど初期費用回収期間は短くなります」


【監修:菱田剛志氏(住宅設備コーディネーター/“琉球てぃーだ“代表取締役)】

※1 公称最大出力数値。
※2「琉球てぃーだ」設置パネルの1ヶ月間の実績値。(沖縄県 2012年6月)
※3 初期費用は、55万円×設置パネル(kW)にて算出。
※4 想定回収期間は、初期費用÷全量売電した場合の金額にて算出。
・初期費用は、55万円×設置パネル(kW)にて算出。
・全量売電金額は、売電価格(42円)で算出
・回収期間は、初期費用および設置面により変動。


「いま、さまざまなメーカーから太陽光パネルが発売されています。熱に強いものや、省スペースで設置できるものなどさまざまです。わたしは沖縄で数社のパネルをまったく同一条件で設置して計測していまして、多種多様なデータを計測できています。たとえば昭和シェル系列のソーラーフロンティアというメーカーのパネルは、低価格パネルながら、実発電量が非常に高いですね。とくに晴天時の発電量が他メーカーのパネルと比較すると高く、効率よく発電しているというデータがあります。低価格で発電量が高いということは、当然、経済性も高いですよね。」



菱田氏の取材から、経済性を重視するならば変換効率やたくさん設置する事を重視するのではなく、初期費用がおトクで、実際の発電量が多いことがポイントのようだ。

「ここ最近ではソフトバンクをはじめとする大企業がメガソーラー事業に参入するなど、太陽光発電への関心が高まってきていることは事実です。ほんの数年前まではエコや環境問題に関心のある人が太陽光発電に興味を持って導入する事例がほとんどだったのですが、初期費用が200万円前後という金額や、初期費用回収モデルなども明確になってきたこともあって、最近では投資目的で太陽光発電に興味を持つ人も増えてきているのも事実です。さまざまな人が太陽光発電に興味を持つことで、今後ますます活発になっていく分野だと思います。」

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ソーラーフロンティア