提供:週刊実話

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 −−実際、今回の民主党執行部のやり方は強引で、怒り心頭の国民からは「もはや民主党は、党としての体を成していない!」との痛烈な声も上がっていますね。
 「『我こそがルールである』『自分たちに規約の解釈権がある』という強引さが見えた。その最たる者が、前原誠司政調会長のやり方です。3党修正合意をめぐる合同会議で、『私に一任してもらう』と宣言して、非常口から逃げだした。これは国民や会議に出席した議員たちの感情を、蔑ろにした自覚を持っていない証左です。もっと言えば、大学時代から政治家になることだけを目指し、政治塾に行って政治家になった人たちのやり方で、こういう人々が今の政界には多すぎる」

 −−執行部以外にも問題点はあると見ていますか?
 「法案に賛成した11人の議員が野田首相のもとに出向いたことがありましたね。その一部の人間が『党の決定だから賛成した。でも処分されないなら、自分も反対したかった』『だから造反者を処分してくれ』と語っていました。これは国会議員以前、人間としての資質の問題でしょう(笑)。
 また、岡田克也副総理たちにはわからないでしょうが、私が地元の商店街を歩くと、『消費税、勘弁してよ!』『酷いよ!』という声ばかり。板橋や渋谷で集会を開いたときには、増税賛成派は1人きりでした。しかも、その人だって『反対しても、結局ダメでしょ』との意見で、集会に集まった人たちから多く寄せられたのは、『消費税に関する皆さんのご意見は聞きましたという、アリバイ作りにだけはしないでくれ』というものでした。執行部は“政党は国民のために存在する”ことを、もう一度思い出すべきなのです」

 −−修正法案を丸呑みさせた野党にも批判が上がっています。自民党のやり方をどう見ていますか?
 「仮に消費税が参院を通過したとしても、現政権は赤字国債を発行するための『特例公債法案』の成立で野党の協力を仰がなければならない。自民党は『造反者を処分しないと審議に応じない』と圧力を掛けているが、これが続けば議会制民主主義に国民が嫌気をさすはずですよ。
 修正法案を丸呑みさせたのもそうですが、このやり方は60年近く続いて下野した自民党政治が劣化しきってしまった証拠。一時の上げ潮派(※増税せず、経済成長で税収アップを唱えた議員たち)は、どこへ行ってしまったのか? 衆院採決で反対者は皆無、中川秀直議員1人だけが欠席したという事実にも、自民党政治の劣化が見えます」

 −−ちなみに、「増税反対」かと見られていた民主党の辻元清美議員までが、賛成票を投じたのも驚きです。
 「私が国会に来て驚いたのは、とにかくポストを欲しがる人が多いこと。それにポストもインフレ状態なんです(笑)。たとえば、私は党広報委員会の副委員長をしているが、同じ肩書きを持った方が10人以上いる。それを名刺にデカデカと刷っている者がごまんといるのです。辻元さんにそうした思惑があったかはわからないが、そういう議員を選んだのは有権者。1年以内に衆院選と参院の半数の改選が行われるが、今回は国民がそれを見極めるいい機会だともいえるのです」

 −−そこで聞きたいのは野田政権の命運です。ズバリ、いつまでと見ています?
 「小沢新党が他党と協力して内閣不信任案を出せば、総辞職か解散・総選挙しかない。そうすると消費税法案が吹っ飛びます。またご存じの通り、以前赤字国債を捻出する『特例公債法案』を成立させるために、菅直人首相が政権と抱き合い心中した経緯もある。今後はさまざまな政局が野田政権を襲ってくるでしょう」

 −−最後に、小沢新党に今の政治を良くする希望の光は見えますか?
 「主役は正しくとも、それがそのまま広がっていく政治状況ではないと思います。中には『こんな民主党なんかには、いられない』と合流する人も出てくるでしょう。しかし、原点に立って考えるべきは、政治家が有権者との契約によって成り立っているという事実です。集団に埋没するのではなく、一人ひとりの議員が自己確立して欲しい。それがなければ、今後政治はさらに国民から離れたものになってしまうからです」