中国共産党機関紙、人民日報系の日刊紙「環球時報」は7日、日中関係は「甲午(きのえうま)開戦前(日清戦争前夜)を思わせる」事態におちいったと報じた。尖閣諸島の問題について、「(日本人も)日本の法律で上陸を禁止されているのに、何度も上陸者が出ている」と批判。仲間均石垣市議会議員らの尖閣諸島・北小島上陸や石原慎太郎都知事発案の東京都による尖閣諸島の購入を、日本国内向けの「人気取り」と決めつけた。

 台湾の活動家が漁船に乗り4日、尖閣諸島に接近したことについては「日本の世論は派手に煽(あお)り立てようとしている。一方で日本政府は“個人の行為”と説明し、中国の民意の反発にいい加減に対応しようとしている」と批判。

 日本人のアジア太平洋地域を専門とする学者という仲村澄世氏の「石原氏らは日中関係のどだいに対して不断の挑戦をしてきた。両国関係を次から次に破壊してきた。日本の元外交官僚には、やや誇張した言い方ではあるが、日中関係は日清戦争前夜にまで逆行したと述べた」との言葉を紹介した。環球時報は「日清戦争前夜」の部分を、記事見出しに使った。

 石原都知事が主導した東京都による尖閣諸島の購入も「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)の問題を利用して、政治的な名声を高め、日本の民衆の反中国の情緒を煽(あお)りたてるもの」と主張。仲間市議の北小島上陸についても、日本国内で尖閣諸島に対する関心が高まったことに便乗した「人気取り」と決めつけた。

 尖閣諸島への上陸については「日本の法律は個人的に無許可で上陸することを禁止している」と指摘。にもかかわらず「ここ数年、多くの人が上陸したが、厳しく処罰されたことはない」と論じ、日本在住の中国人研究者、庚欣氏の「日本政府の支持率は下がっている。対外的に強硬な政治家は、民意の支持を得る場合がある。政府は、世論の反発のリスクをおかしてまで、焦点の人物を処罰できない」とする分析を紹介した。(編集担当:如月隼人)