担当M(以下M):今シーズンは次々に監督交代劇があります。まだ4分の1程度しかシーズンを消化していないにも拘わらず、どんどん更迭の噂が出てきています。

ラモス(以下R):いい風潮とは思いませんね。数試合で監督を代えるなんて、どう考えても正常じゃないですよ。これじゃ3試合勝てないと監督が交代させられるブラジルの二の舞になってしまいますよ。今年のJ1リーグで言えば、13節が終わった後にワールドカップ予選のためのリーグ戦中断があるんだから、そこまで我慢するべきでしたよ。

M:そのブラジルから来たジョルジーニョ監督ですが、かつてここまで鹿島が苦しんだことはないという成績のスタートでした。ずばり、浮上しつつあると鹿島はジョルジーニョ監督を交代させるべきでしょうか。

R:う〜ん、正直なところを言えば「交代させてほしくない」という気持ちです。そりゃ成績だけを考えると更迭ということになるかもしれない。でも今年の鹿島を率いるのは、本当は大変なことなんですよ。チームの世代交代を進めなければいけない、外国籍選手も変わった。それに前任者のオズワルド・オリヴェイラ監督が就任から3連覇し、その翌年もヤマザキナビスコカップを獲るというすごい仕事をやり遂げたから、そんな監督の後に誰が何をやろうと色あせてみえてしまうんですよ。勝てなかったりすると、すぐにね。

M:ちょうどチームがいちばん苦しい時期に監督を引き受けてしまったんですね。

R:そうですよ。ジョルジーニョ監督のことだから、きっと難しい仕事だとは判っていたはずです。なのに引き受けた心意気は僕は好きです。それに、鹿島でプレーして、鹿島のために戻ってきた、鹿島の血が流れている人物なんだから、そう簡単に見切りを付けちゃいけない。クラブには全力でサポートしてほしいし、これまでの鹿島の実績から考えて、ちゃんとやると思いますね。だから焦る必要はない。もともと実力のある選手ばかりだから。鹿島は必ず逆襲してきますよ。

M:そう言えば、オズワルド・オリヴェイラ監督が就任したときも、それまでの鹿島の歴史で最悪のスタートでした。

R:そうだったでしょう?

M:そういうときでも、あたふたしていないところが鹿島のすごさですね。

R:そういうクラブだからチームも安心してプレーできるんです。この鹿島の例を学んだほうがいいクラブもあると思いますよ。