巨人の渡辺球団会長がMLB開幕戦で来日したイチロー(38)に打診したのは監督業ではなく、球団社長だった−−。巨人フロントは長嶋専務体制からイチロー政権に移行する!?

 「ドブネズミか泥棒猫か知らんが、変な人間が一人いなくなると一体感が生まれる」
 開幕前の激励会でV奪回に自信と手ごたえを隠さなかった渡辺恒雄巨人軍球団会長。杉内、ホールトンの2人で30勝、エアポケットになっていた三塁には村田を獲得、下馬評でも巨人のぶっちぎり優勝は不動の評価。ところがどっこい、いざフタを開けてみると…。
 3月30日の開幕戦ではヤクルトの石川に9回1死までノーヒットに封じ込まれ、球団史上初の開幕戦完封負けを喫してしまった。戦力では圧倒しているのに、歯車がかみ合わず機能しない。これでは渡辺会長が“ドブネズミ”の後遺症を危惧するのも当然だろう。

 その渡辺会長も、エネルギッシュとはいえ、御年85歳。球団の象徴・長嶋茂雄終身名誉監督も76歳と高齢化が進んでいるだけに、巨人軍の将来を託すに足る、新世代の経営者の獲得が急務となっている。
 「これまで巨人軍の経営陣にはユニホーム組は介入させず、読売新聞本社首脳で構成されてきた。唯一の例外が専務取締役終身名誉監督の肩書を持つ長嶋茂雄氏。しかし、体調が万全ではなく、あくまで名誉職。実際の球団経営には携わっていない。自然と新聞記者上がりのGMやら球団代表が切り盛りすることになり、先日の失態も生じた。そこで今後は、オーナーはともかく、球団社長はプロ野球のスペシャリストに委ねる方針に舵を切ったんです」(巨人関係者)

 見逃せないのは、3月27日に都内のホテルで行われた「渡辺会長×イチロー」会談である。MLB開幕戦のマリナーズ対アスレチックスのレセプションパーティーの席で、渡辺会長はイチローに将来の巨人軍監督を要請したことを明かしたのだ。
 「私は選手に徹します」
 ナベツネ会長によれば、イチローはこう言って辞退を申し出たが、それでもナベツネ会長はいつになく上機嫌でこう話したという。
 「理論的なことをイチロー君に教えられた。とにかく精神的にもすごい男だ。あれほど頭のいい男に会ったことがない。イチローじゃなく、一流だ」