「東日本大震災復興支援」と銘打たれた今年のグリーンジャンボ宝くじは、収益金の一部が被災地の復興支援に役立てられ、さらには1等と前後賞合わせた当選金が、宝くじ史上最高額の5億円ということでも話題になっている。1等賞金額が増額されるのは実に12年ぶりのことだ。

 「たとえ外れても震災復興に役立てば」の気持ちと、「バラで買っても3億円」という現実的な夢−−。
 発売初日の早朝、“高額当選の名所”東京・銀座にある「西銀座チャンスセンター」には、およそ700人の行列ができた。
 同所で行われたイベントにゲスト出演したのは、プロビーチバレー選手の浅尾美和。テレビのCMでは、戦隊ヒーロー“ゴオクエンジャー”に扮する木村拓哉のイカした姿が流れている。
 売り場に並ぶ一部のファンからは「キムタクや浅尾美和にギャラを払うくらいなら、それこそ震災復興に回した方がいいのでは」という辛辣な声も聞かれたが、そもそも「庶民の夢」を仕掛けているのは“ヒーロー”などではない。

 宝くじは現在、年間約1兆円の売り上げがある。そのうち約46%が当選金に充てられ、約40%が発売元である都道府県と政令指定都市の収益金に、そして残りの約14%が販売経費という内訳になっている。木村や浅尾へのギャラは、この14%の中から支払われるが、実はこの仕組みが、真っ暗な闇に包まれているとの批判が絶えない。つまりヒーローのふりをする悪玉が、宝くじファンの目の届かないところで息を潜めて嗤っているというのだ。まるで“夢を喰う獏”のように…。
 「当選に回されるのは半分に満たないのですから、どんなギャンブルも裸足で逃げ出す高いテラ銭といえます。海外の宝くじに比べても格段に高い。これは、宝くじに群がる『利権集団』のうま味の大きさを意味しており、総務省も自治体も、受託しているみずほ銀行も、『46:40:14』というスキームを壊すつもりは毛頭ありません」(宝くじに詳しいジャーナリスト)

 ロト6だけを買い続けているという、あるファンもため息をつく。
 「今年の1月と2月に発売された計16回について集計してみたのです。キッチリ控除率55%、配当に回す割合は45%でした。5等賞金がいつでも1000円というのも、考えれば怪しいと思いませんか」

 宝くじの販売構造がどうなっているのかについて、こんな一途なファンのためにも、できる限り透明性を確保すべきだろう。
 しかし暗部は暗部のまま、たとえ目を凝らしても何も見えることはない。