6日、政府・与党社会保障改革本部において、消費税増税の具体的なプランが決定された。それによると2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げられるとのこと。

 デフレ、円高による不景気はいまだ回復の兆しを見せず、ここに消費税増税が加わるとなると購買力はさらに低下する。破綻、倒産の影がちらつく企業も多く、また会社に残れたとしてもリストラの恐怖がつきまとう。ましてや新卒者は職にありつくことさえできない世の中だ。

 手の尽くしようがないとなると、残るはもはや「神頼み」。仕事運を少しでもアップさせるため、初詣でお願いした人も多いだろう。

 だが、やみくもに神社仏閣でお願いすればいいというものでもないらしい。どのような心構えで臨むべきか、神社仏閣ライターの坂原弘康さんに聞いた。

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 仕事でも学業でも、立身出世の心構えとして大切なのは、まず自分自身がこの世に何をなすべきかという使命感を持つことです。

 やはり立身出世とは人間社会があってこそ。自分が相手に対し、社会に対し、どんな貢献ができるのか。常にそれを自覚した行動を心がけるようにすれば、神仏の力によって自然と人望が集まるようになるはずです。それが、仕事上の重要な出会いや、思いがけないビジネスチャンスをつかむ出来事につながってくるでしょう。

 古来、武将たちも神仏を信奉してきました。有名なところでは、武田信玄の諏訪明神、上杉謙信の毘沙門天、直江兼続の愛染明王(または愛宕権現)、徳川家康の阿弥陀如来などが挙げられます。

 武将たちは、神仏の姿を身につけたり旗印にしたりして、そのパワーにあやかろうとしました。ただし、すべて神仏頼みではありません。自らが目指す天下平定への決意を神仏に誓い、その信念に基いて行動を起こした結果、成功へとつながったのです。

 ですから、皆さんも願い事をするときは、なんでもかんでも頼りにしてしまうのではなく、「〜できるように精いっぱい努力します」といった決意を込めて、実際にその実現に向けて行動を起こすことが大切です。

 ちなみに、現代の企業でも神仏のパワーにあやかって成功したところは多く、世界的なカメラメーカーの「キヤノン」が最初に作ったカメラ試作機の名前も、もともとは観音菩薩の「カンノン」に由来しています。

 意外なところにまで、神仏の見えない世界は広がっているのです。

■神社仏閣ライター・坂原弘康
大仏専門家として各メディアで活躍中。体験型参拝などユニークなアプローチで神社仏閣の楽しみ方を紹介。各地のカルチャーセンターで講師も務める。著書に『大仏をめぐろう』(イースト・プレス)などがある。

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