先週のトム・クルーズ来日記者会見の直前に拝見したメガヒットシリーズの最新作。とにかく今年一番の話題作だから、いつ観れるのかとずっと心待ちにしていた。製作はJ.J.エイブラムズにトム・クルーズ、監督は「Mr. インクレディブル」や「レミーのおいしいレストラン」等のアニメ作品で評価され、初の実写映画に取り組んだブラッド・バード。出演はトム・クルーズに加えて、「ハート・ロッカー」で個人的には超お気に入りのジェレミー・レナー、ゴージャスなポーラ・パットン。撮影場所はドバイ、モスクワ、ムンバイ、ブタペスト、バンクーバーなど超インターナショナル。早朝だったが、期待で倒れそうな状態で劇場に向かった。
アメリカの極秘諜報機関IMFのエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、収監されていたモスクワの刑務所から脱獄を図る。一方仲間のベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)と女性エージェントのジェーン・カーター(ポーラ・パットン)は核の発射コードを持つ運び屋を追っていたが、仲間の一人が美人の殺し屋に殺され計画は失敗。イーサン、ベンジー、ジェーンは、発射コードの受領者である"コバルト"というコードネームの男に関する情報を、クレムリンに侵入して取り戻す任務を負うが、そこで爆破事件が起きる。その容疑者にされたイーサンは、米政府が事件に関与した疑いを避ける為に大統領が"ゴースト・プロトコル"(架空任務)を発令し、孤立無援となったことを知る。彼は、分析官のウィリアム・ブラント(ジェイミー・レナー)をチームに加えることになるが、ウィリアムには複雑な過去があった。今やIMFからも援助を得られずに孤立したイーサンとチームは、ロシアとアメリカの核戦争を阻止する最難関のミッションを遂行する。

兎にも角にも、期待を遥かに上回る面白さだ。多少のご都合主義もあるけれど、ストーリーの盛り上げ方といい、キャストの相性といい、スケールの大きさといい、やっぱりこんな映画はハリウッドにしか撮れないんだなあとひれ伏してしまうような作品だった。

改めてトム・クルーズって人はたいした人だと実感。49歳の体を相当鍛えて、ドバイの超高層ビル"ブルジュ・ハリファ"の外壁を攀じ登ったり、BMWでカーチェイスしたり、砂嵐の中スカーフ巻いて走り捲くったり等、危険なスタントを全て自分でこなす一方で、タキシードを着て女性エージェントをエスコートし任務を遂行する。男同士の熱い語り演技もこなす。それでいてこの映画の製作も担当し、「皆がベストを尽くせるような現場作りに尽力した」とか「自分は好きなエンタテイメントの仕事に携われて幸運だし、一生続けたいと思っている」と記者会見でさらっと言ってのける。以前の来日時も思ったが、マジメな話、なんだか神々しく思えた。それに今回のミッションに燃えるトム・クルーズを、初めて"セクシー"だと実感。若干長めの髪に、皺の増えた表情と鍛えた体格、哀愁の見える演技。"どこを切ってもトム・クルーズ"に食傷気味だったが、興行的にもキャリア的にも絶好調のスターが多い同世代の中で、この作品で抜きん出たように思う。何かを"超えたな"と感じる瞬間が多くあった。

ITを駆使したスパイガジェットも楽しいし、よく構成されたアクションシーンもとてもダイナミック。それに今回は監督の独特な演出なのか、洒落たユーモアもたっぷり。個人的にはお気に入りのジェイミー・レナーがこんな大作で複雑なストーリーを抱えた役を演じてくれたことがうれしい。素晴らしいメインキャストの4人以外の俳優たちも国際色豊かで、異国の美しい映像がより話を盛り上げる。昔よく見た上質のスパイ映画の伝統を受け継いでいて、観終わった後もその興奮がなかなか忘れられなかった。

間違いなくシリーズの歴代興行成績を塗り変えるだろう。停滞した景気と寒くなり始めた冬を吹き飛ばすパワーをくれるような、さすがの超A級作品。(★★★★1/2)

12月16日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか全国超拡大公開
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
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