■1年越しとなった“J昇格”への想い

11月15日、町田ゼルビアにとって朗報が届いた。Jリーグ理事会においてJリーグ加盟のための入会審査が通過したのであった。昨年予備審査で“不合格”を突きつけられてから、クラブ関係者は並々ならぬ努力をしてきた。その結果が認められることとなったのだ。あれから1年、クラブを取り巻く環境はどのような変化をしてきたのか。昨年の“不合格”決定後に発足した『町田ゼルビアを支える会』の事務局長・石黒修一さんと今泉利恵さんにお話をうかがった。

――これまでの町田ゼルビアを支える会の歩みを教えてください。

「昨年の9月5日、天皇杯東京V戦の朝にクラブ公式HPでJリーグ入会予備審査の結果『条件を満たさない』ということが掲載されたのですが、われわれにとって本当に晴天の霹靂でした。ですけど、あの日選手ががんばってくれて、感動的な試合をしてくれた。試合が終わって町田に帰ってきてから、仲間と飲んでいて、『よかったけど、悔しいね』という話になったんです。『なんとかならないかな』と。それから何かわれわれの力でやろうよとボランティア仲間で話し合って、そして、クラブから事情を聞きながら考えました。

その中で署名というのが一番わかりやすいのかなと思ったんですけど、まずはサポーターの話を聞こうよということで、9月11日多摩陸上競技場でのホームゲームでアンケートを取りました。内容としては『あなたにとってゼルビアはどんな存在か?』とか『ゼルビアが何年後にどういう姿になっていることを想像しますか?』という抽象的な質問をさせてもらったんです。それにもかかわらず、500通ぐらい返ってきたんですよ。それだけ関心が高いんだと思いました。みなさんが書かれたキーワードとして『地域密着』や『ゼルビアの試合が生活の中心となっている』という意見ばかりなんですよ。

それを見て、われわれも感動しまして、こういう人がたくさんいるんだったら、市民の力で何かできるんじゃないかということで署名をやろうということになったんです。クラブ主導ではなく、サポーター市民が主導でやることが重要だなと。約1ヶ月間、行政やクラブ、そしてJリーグにも足を運んで、いろんな話を聞きました。署名もはじめてのことなので、準備に1ヶ月かかってしまい、10月からスタートさせることができました。それが『支える会』としての活動のはじまりでした」

――組織を立ち上げたときの思いはどのようなものだったのですか?

「正直、最初は腹が立ったんですよね、Jリーグに。悔しい思いというか、怒りにまかせてはじめたところがありました。活動していくうちにJリーグを恨んでも仕方ないなと思うようになり、ほかのところに不備があったのではないかという気持ちになっていきました。となると、クラブや行政に関して腹が立つようになったんですよ。でも、さらに進めていくと、そうではなくて、三位一体と言いながらも今までサポーターは何をしたのかと思うようになりました。ただクラブや行政がやっていることについていくだけという感じだったんですね。よくよくサポーターが何をしてきたのかを考えると、自分たちに腹立たしくなってきて、調べてみるとこれまでJリーグに参入したチームはもっとサポーターの力が強かったんですよね。あまりにもわれわれはやらなさすぎた」

■町田ゼルビアを支える具体的な活動

――『ゼルビアを支える会』の具体的な活動内容は?

「3月にJリーグ加盟のための継続的な支援を求めての署名5万人分を行政に提出したのをはじめ、あとは告知活動ですね。チラシ配布だったり、今年だけでポスターを900枚ぐらい配りました。それと、目に見えない活動としては、市議会議員さんにはかなり会いましたね。全部で35人いらっしゃるのですが、20数人とは話をさせていただきました」