中国政府は高速道路などのインフラへの巨額な投資規模に対し、教育における支出は国内総生産(GDP)の4%にも達していない。困窮する予算を前に、「教育は国家百年の大計」というスローガンは実践を伴っていない。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 教育投資の対GDP比を引き上げる政策は、すでに長い歴史を持つ。1993年に制定された『中国教育改革及び発展綱要』第48条では「国家財政の教育経費支出の対国内総生産比を段階的に引き上げ、今世紀末に4%に到達させる」と明確に提起している。

 つまり、この綱要によれば2000年の時点で、4%という数字は、財政的教育経費支出の対GDP比が最低限達成しなければならないものなのである。

 1995年に公布された『中華人民共和国教育法』第54条にも、「国家財政の教育経費支出の対国内総生産比は、国民経済の発展及び財政収入の成長に伴い徐々に引き上げるべき」と規定している。しかし残念ながら、18年前のその目標さえ、いまだ達成できていない。

 世界銀行2001年の統計によれば、オーストラリア、カナダ、フランス、日本、イギリス、アメリカなど高所得国家公共教育支出の対GDP比は、平均値が4.8%だ。また、コロンビア、キューバ、ヨルダン、ペルーなど低・中所得国での平均値は5.6%となっている。

 教育部財務司の『中国統計年鑑2009』及び国家統計局公表のデータをもとに、2000年から09年までの10年間で、4%を目標で計算すると、国家財政の教育経費支出の不足分は累計1兆6843億元(約21兆円)にも達している。しかも、02年から03年までの間、経費投入は0.06%減少している。09年までの国家財政における教育支出は1兆2231億元(約15兆円)で、国内総生産の3.59%となっている。

 辺境地区においては、小・中学校教師の新雇用が長年にわたって行われていないか、あるいは多くの50歳以上の農村教師や60歳以上の男性教師を「延長雇用」し、定年させない状況もよく見かける。これは、教育品質を低下させる直接の原因であり、これによって中西部と東南沿岸部との差がさらに拡大している。

 その背景にある重大な原因は、地方の官僚がよく言及するいわゆる「財政困難」である。(つづく 編集担当:米原裕子)



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