「特撮映像館」、2011年最初に取り上げるのは、81年深作監督によって作られた風太郎忍法帳の代表作『魔界転生』です。千葉真一&沢田研二の魅力が見どころといえるでしょう。

角川映画で横溝正史、森村誠一郎ブームを作った角川春樹が、今度は山田風太郎の忍法小説ブームを角川文庫で復活させていた時期の作品。というより、この映画がキッカケで角川文庫版の山田風太郎作品は盛り上がったといえる。当時すでに刊行済みだった本原作文庫も、映画化に合わせて辻村ジュサブローの人形を表紙にして大々的にキャンペーンも展開していた。

さて、原作をお読みの方は本作がかなり脚色されているのはご存知のことだろう。江戸幕府転覆を企む魔界衆のリーダーが沢田研二演じる天草四郎になっているわけだが、原作に於ける四郎の扱いは一魔界衆にすぎない。また転生の方法自体も原作にあるような描写は登場しない。

本作の魅力をザックリと言うのであれば、沢田研二の天草四郎、千葉真一の柳生十兵衛、そして邦楽をベースにした音楽ではないだろうか。千葉の十兵衛は実にハマッていて、この人のほかに十兵衛はありえないのではないかと思えるほど。沢田の天草四郎も妖艶な雰囲気がいい。もっとも本来の天草四郎は少年のはずなので沢田研二では多少年齢的な矛盾はあるのだが。公開当時は沢田研二と、霧丸役の真田広之のキスシーンも話題になった。

全般として伝奇時代劇という内容の本作であり、ところどころに特撮も使用されている。特に天草四郎は首だけとなるシーンが冒頭と終盤にある。特撮を担当したのは東映でジャイアントロボなどに携わった特撮研究所。クライマックスの江戸城炎上シーンなどは見事である。

最後に、細川ガラシャ役の佳那晃子も本作の見どころのひとつといっておこう。

監督/深作欣二
キャスト/千葉真一、沢田研二、佳那晃子、緒形 拳、若山富三郎、室田日出男、丹波哲郎、真田広之、ほか。
1981年/122分/日本

■ライター紹介
【猫目ユウ】

フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。


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