中国の人権活動家、劉暁波(りゅうぎょうは)氏(54)は8日、2010年のノーベル平和賞を受賞することが決定した。中国側は12日、劉氏を「犯罪者」と強調し、これに反発している。劉氏は現在服役中であるが、中国では同氏への称賛や中国政府への批判が、厳しい検閲をすり抜け、ネット上で広がっているとみられる。

 劉氏は、中国共産党の一党独裁に対して政治改革を求めた「08憲章」を起草し、昨年6月に逮捕され、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の有期刑を受け、刑務所に収容されている。

 世界情勢に詳しい米国のブログ「pajamasmedia.com」では、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞は、中国共産主義の結末の予兆を示していると指摘している。

 筆者は、多くの米国人がノーベル平和賞発表を聞いて、おそらく「劉暁波氏とは一体誰なのか」と思ったに違いないと述べる。中国政府の検閲と抑制によって、また劉氏の投獄で、その名前は知られておらず、皮肉にも中国本土の人々でさえも同じ反応だったと語っている。

 筆者は、昨年のノーベル委員会は、道理に合わない選択で、バラク・オバマ大統領にノーベル平和賞を授与したが、劉暁波氏はその勇敢さと思慮深さから、この賞にふさわしい人物だと思うと述べている。

 劉氏のノーベル平和賞は本当に意味があったと述べ、それは、1989年の天安門事件以降、中国で発展した新しい民主主義運動に関心が集まり、新たなエネルギーを与えた。また西側諸国の人々や、中国経済を握る都市部に住む富裕層の中国人らが、劉暁波氏とその活動について知ることも重要であったとの見方を示している。

 筆者は、もし中国当局が劉氏を拘留し続けるなら、世界は中国が道徳的にナチスに等しいと考えるだろう。しかし、もし当局が劉氏を釈放し、ノルウェーに行くなら、劉氏はノーベル平和賞受賞の演説で、全世界が見守る中、合法的な政治を訴えるだろうとつづる。

 劉氏の釈放は、事態をさらに悪化させる可能性があると筆者は懸念している。中国政府が政治的な抑圧をさらに強化させた場合、一時的に人々の不満を封じ込めることができるかもしれないが、その結果生じた不満の爆発は、おそらく中国政府を完全に打倒するだろうと述べ、これまで中国の長い歴史の中で、何十回と同じことが繰り返されてきたとつづっている。

 一方で、中国政府が抑圧を緩めたなら、不満の声が圧倒的に大きくなり、権力が一掃されるか、政治改革が行われるかの選択を迫られるだろう。いずれにしても、そのような日は近い将来きっと来るだろうと締めくくっている。(編集担当:田島波留・山口幸治)



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