週刊誌『時事IN』(第142号)のテーマは戦争。

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哨戒艦沈没が北朝鮮の魚雷によるものだとの調査結果が出たことで、国際社会における北朝鮮への非難は強まりをみせている。日本でも哨戒艦関連のニュースは連日報じられ、緊迫する朝鮮半島の様子がひしひしと伝わってくるが、実際ソウルの街の様子はどうなのだろうか。

時おり晴れ間がのぞく5月下旬。記者がソウルを訪れると、日本人や中国人の観光客でごった返し、街は夜遅くまでにぎわいをみせていた。ソウルでは先日、北朝鮮によるテロ攻撃を想定した「対テロ訓練」が市民を交えて実施されている。しかし、記者がソウルに滞在した間は、そのような状況に遭遇(そうぐう)することも、訓練をしたという話しも聞くことはなく、以前と変わらない活気あふれる街であった。

だが、韓国の多くのメディアが「朝鮮半島の戦争のシナリオ」「戦争の危機」などといった記事を連日報じているし、インターネットの掲示板などでは「6月始めに戦争が起きる」といったウワサは後を絶たたない。

街は平穏だが、もしかしたら、人々の心の中は戦争に対する恐怖でおびえているのではないだろうか?韓国人に戦争勃発のウワサがネットで流れていることについて聞いてみた。すると、「う〜ん、起こったら困るね〜」「6月は重要な用事があるんだけどなぁ」「中旬に結婚式があるから、するなら下旬にしてほしい」など冗談を交えながら答えてくれた。誰も実際に戦争が起こるなんて考えていないようで、もし起こってしまったらその時はその時。しょうがないんじゃない?といった感じのようだ。

ある女性は「メディアが騒ぎすぎているような気がする。そのせいで、むしろ国民の不安感情を煽(あお)っている」と話してくれた。どうやらメディアの報道と、市民の感情との温度差はとても大きいようである。

今のところ、韓国の治安を心配する必要はないと言える。しかし、いつ何が起きるか分からないだけに、韓国を訪れる人は念のため、テレビやインターネットで関連情報をチェックしておくといいだろう。

(文:林由美)

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