商品にお祓いを施したことをうたった「合格祈願済み商品」の点数が増えている。これに対し、神社本庁は全国の神社庁へ、商品に対する祈祷に応じないようにと通達した。「尊厳を損なう」ことがその理由で、ネットでは賛否が飛び交っている。

営利的商品の販売促進に利用されるのはダメ

   「合格祈願済み商品」とは神社で祈祷したもののことで、2008年末から点数が増えた。たとえば、食品ではエースコック「合格!お祈り わかめラーメン ごま・しょうゆ」、森永製菓「ハイチュウ『合格梅味』」。文房具ではぺんてるが「合格祈願」のシリーズを売り出している。

   やまうでは06年から「合格祈願七福神漬」を販売している。同社の広報は、「快く協力していただいている。パッケージを持ち込んで、デザインや表現なども見てもらった。神社からは許可を得ている」と話す。商品のホームページでも合格祈願の様子を紹介。社員が商品とともに祈祷に参加した様子を取り上げた。

   全国の神社を包括する宗教法人の神社本庁は、こうした合格祈願商品に待ったをかけた。「神社が営利的な商品の販売促進に利用されないように」として、神社には、祈祷をする際には節度ある対応をするよう通達した。類似の商品が増え、神社名が予測しない形で利用されると、「神符守札の尊厳を損なう」というのだ。

   もっとも、通達ははじめてではない。神社本庁の機関誌的な存在ともいえる神社新報によれば、昭和54年、神符守札を商業利用しない旨をうたった通達をしている。神社本庁祭務部は、この通達の徹底をはかったもの、としている。「合格祈願済み」商品が増え、同庁へは「祈祷はどこで受けられるか」「祈祷を受けてもいいのか」といった問い合わせが増えていた。

「今後はお祓いの引き受けは控えたい」

   さて、商品に「合格祈願済み」をうった商品は、神社の尊厳を損なうのか。ヤフー意識調査ではこの質問に対して、「思う」50%、「思わない」37%、「どちらともいえない」15%だった(2月19日19時現在)。ただ、コメント欄では比較的、意見が割れている。

   「尊厳を損なう」という意見では、「神社は商売をしてはいけないので、お守りや御札は、一応『授与』されるもので、お金も納めるものという建前があります。それを祈祷済みと銘打って売るのは問題になってしまうのだと思います」「合格祈願は当事者が神社仏閣に参詣して行うことが本義」などと書き込まれている。

   一方、「尊厳を損なうとは思えない」という人は、「きちんと許可を取り、材料の一部でも祈願を込めたものであれば問題ないと思う」「そもそもお菓子とか、ライトなモノに対する軽いノリから派生した商品でしょ?買う方もそれほど意識していないだろうし、受験生が何かを買おうとしたときに、『どうせだったら』と考えての購入のはず」とつづられていた。

   神社側は今回の通達を受けて、商品にまつわる祈祷の引き受けを控えたい考えだ。商品の祈祷を引き受けたことのある、ある神社では「これまでは受験生のためになればと思い、ひきうけていました」とJ-CASTニュースに明かす。

   ただ、商品の祈祷は最初こそ依頼が少なかったが、最近では、同様の問い合わせは増えていたそうで、断ったケースもある。「今後はお祓いの引き受けは控えたいと思っています。いまは新規では受け付けていませんし、これまで付き合いのあったところについても検討したい」と話している。

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