マカオの顔といえばこの聖ポール教会跡だが、最近は高級カジノにその座を奪われつつあるようだ

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高級カジノが続々とオープンするマカオが日本でもブームのようである。ここ1〜2年の間に続々と開業した高級カジノは一昔前の「ちょっと怪しい」雰囲気とは全く無縁。高級ホテルやショッピングセンターも備えたリゾートホテルの様を示しており、女性の観光客でも安心して立ち寄ることができるようだ。このマカオでは現地のプリペイドSIMカードを使ってパケット定額利用ができる。そこで今回は、マカオのパケット定額を活用してみよう。

■自動販売機でプリペイドSIMカードを購入できるマカオ
“The Venetian、Crown Macau、MGM Grand”といった高級カジノが続々とオープンするマカオ。渡航者数も急増しており人口わずか60万の都市国家に年間数千万人もの観光客・ビジネス客が押しかけている。日本からも昨年1年間だけでも30万人弱の渡航客が訪れたとのことだ。

ではマカオ滞在中に携帯電話を利用したい場合はどうすればよいだろうか。
日本の携帯電話も国際ローミング対応の機種ならばマカオでそのまま利用することもできる。ただし料金は国際ローミング料金となるため割高であることに気をつける必要がある。定額なども利用できず、着信にも料金がかかるといった日本国内とは料金体系が全く異なることを理解した上で利用したほうが良いだろう。

マカオで頻繁に携帯電話を使うなら現地の電話回線=SIMカードを入手して利用することを考えたい。特にメールやWEBサイトアクセスなどのパケット通信は国際ローミング料金が割高である。マカオには現地の携帯電話事業者が4社あるが、うち3社がプリペイドのSIMカードを販売しており現地の安価な料金で利用することが可能だ。しかもマカオではプリペイドSIMカードの購入時に身分証明書などは不要なのだ。さらに世界でも珍しいことに自動販売機でプリペイドSIMカードを購入できる。夜中でもカジノはオープンしており本当の意味で24時間眠らない都市であるマカオでは、携帯電話販売店が夜中に閉まっていても自動販売機でプリペイドSIMカードが買えというのはさすがである。

ただプリペイドSIMカードの自動販売機が設置されているのは、香港との間を結ぶ「マカオフェリーターミナル」のみ。ここの1階のロビーに各社のプリペイドSIMカード自販機が設置されている。香港との間のフェリーは24時間運航されているため、自販機のあるロビーも24時間立ち入りは自由だ。また利用できる通貨はマカオパタカのほかに香港ドルも利用できる。レートは1:1計算となっているためどちらを利用しても購入金額は同一となる。

さて3社がプリペイドSIMカードを販売しているわけだが、お勧めは「CTM」社のものだ。理由は、3社の中で唯一パケット通信に対応しているのだ。しかもパケット定額まで提供されている。マカオでプリペイドSIMカードを買うならCTMのもの、と決めておいても良いだろう。

CTMのプリペイドSIMカードには2種類がある。「3G」とかかれたものが3G対応タイプ。3Gの表示の無い「BEST 100」「BEST 50」などが2G対応タイプだ。どちらも音声通話は国内のみならず国際にも対応。日本への通話も行える。

付加サービスとして3Gタイプはテレビ電話に対応、またW-CDMA回線を利用して384kbpsの高速データ通信が利用できる。さらにパケット2Mバイトが無料で利用できる。販売価格はMOP(マカオパタカ)100、約1400円だ。

2Gタイプはデータ通信はGPRSとなり、最速64kbps程度となる。しかしMOP50(約700円)で5日間のパケット定額が利用できる。短期滞在でパケット通信速度を気にしないのならばこちらのタイプがお勧めだ。滞在するホテルにネット環境が無い場合やネット利用料が高い場合などもこのプリペイドSIMカードを購入してパケット定額を申し込むと良いだろう。
珍しいプリペイドSIMカードの自動販売機。右下の写真、左が3Gタイプ、右が2Gタイプ

■わずか700円! EMONSTERを使って、いざパケット定額を利用する
プリペイドSIMカードを活用するには、SIMロックの無い携帯電話を購入する必要がある。国際ローミングできる日本の携帯電話、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、auの携帯電話はいずれもSIMロックが施されてあり、自社以外のSIMカードは利用できない。そのため別途SIMロックフリーの携帯電話を購入する必要がある。日本ではノキアジャパンの「Nokia E61」やHTC日本の「P3600」などがあるが、若干価格が高いのがネックかもしれない。

実は、海外で活用できるより安価な端末がほかにもあるのだ。イー・モバイルが発売するEMONSTER、「S11HT」はSIMロックが無い。S11HTはW-CDMA 1700MHz(イー・モバイルのみ)と、GSM 850/900/1800/1900MHz(全世界のGSM方式)に対応している。すなわち日本国内では3G対応スマートフォン、海外では現地のSIMカードを入れたGSM対応スマートフォンとして利用できるというわけなのである。

では実際にEMONSTERでパケット定額利用をしてみよう。まずはマカオでCTMのプリペイドSIMカードを入手する。街中に携帯電話ショップがあればよいが、見つからない場合や購入が難しそうな場合はタクシーにのってマカオフェリーターミナルへ向かうのが簡単だ。CTMの自販機を見つけたら100マカオパタカか100香港ドルを自販機にいれ、プリペイドSIMカードの商品番号を押せばSIMカードを購入することができる。

パッケージを開けたらSIMカード本体からICカード部分だけを取り外す。EMONSTERの電源を切り、液晶背面のSIMカードスロットに入っているイー・モバイルのUSIMカード(EM chip)を取り出し、CTMのSIMカードに入れ替える。あとは電源を入れ直すだけだ。電源再投入後は画面右上に「CTM」と見慣れない表示が出ているだろう。CTMの電波=現地の通信事業者の電波を拾っているということだ。
購入したプリペイドSIMカードをEMONSTERに装着

■開通作業とパケット定額申請の手順
このあとは開通作業を行う必要があるが操作は簡単だ。まず「1772」に電話をかける。中国語、ポルトガル語、英語でアナウンスが流れるが、ここで3(英語)を押す。なお「1772」に電話をかけたのち、EMONSTERの画面からは数字キーパッドが消えてしまっているはずだ。あわてずに、アナウンスが流れている間に画面左下の「キーパッド」をタップすれば再び画面に数字キーパッドが表示される。その状態で数字の3を押せばよい。

ここで英語でアナウンスが流れるが、「開通に成功しました。一旦電話の電源を切り、3分後に電源を入れてください」と言っている。何を言っているか聞き取りにくいかもしれないが、ここはそのまま電源を切ればよい。その後3分ほど待ち、再度電源を入れるとSMSが数通届いているはずだ。そのうちの1通に中国語で電話番号や有効期限(開通日から180日)が記載されている。中国語だが漢字を見ればなんとなく理解できるだろう。

続いてパケット定額申請だ。今度は「1773」に電話をかける。このあと数字キーの入力が続けてあるので、アナウンスの間に画面左下の「キーパッド」を押して数字キーパッドを常時画面に表示しておこう。「1773」にかけたあとはアナウンスの間に3(英語)を押し、次のアナウンスでは1(Value Addサービス)を押す。続いて各種申請の案内がアナウンスされるので5(パケット定額申請)を押す。これでプリペイドSIMカードの残高からMOP 50がマイナスされ、5日間、パケット通信を定額で利用可能になる。

このあとは、EMONSTERの設定が必要だ。パケット通信を行うには「スタート」→「設定」→「接続」タブ→「接続」アイコンにしてから画面上の「EMnet」の部分で「新しいモデム接続の追加」をタップする。

設定内容は接続名が適当なもの(例:CTMなど)、モデムの選択は「パケット通信」とする。「次へ」を押し、次の画面のアクセスポイント名に「CTMPREPAID2」と入力する。最後の「2」を忘れないようにしよう。次の画面ではユーザー名などを入力するが、いずれも空白でよい。「完了」を押したら、再度設定画面に戻るので、EMnetの部分の「既存の接続の管理」をタップする。ここで現在は「EMnet」が選択されているので、これを先ほど作った接続名(例:CTMなど)に変更する。

最後に画面下「プロキシの設定」のタブをタップし、「プロキシサーバーを使用してインターネットに接続する」の選択をはずして空欄とする。これで設定は完了だ。あとはInternet Explorerを起動してWEBページを閲覧したり、電子メールを利用してメールのチェックが可能になる。日本でEMONSTERを利用している人は、このように海外で現地のプリペイドSIMカードを手軽に利用できるのだ。マカオに行くことがあれば、ぜひこの「パケット定額サービス」を利用してみてはいかがだろうか。
ポイントはAPN名がctmprepaid2、プロキシサーバーを使わない、の2点後は日本にいるときと同様にパケット通信が可能になる


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山根康宏
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