北京のスターバックスも無線LANは無料だ。ノートPCや無線LAN内蔵スマートフォンを持っていれば自由にネットアクセスできる。

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まもなく開催される北京オリンピック、日本から観戦に行く人も多いことだろう。さて海外に行く際に気になることの一つは現地の通信環境ではないだろうか。旅行中とはいえ仕事やプライベートのメールチェックやBlogの更新など、現地でも日本と同様にインターネットアクセスしたいと考えている人もいるだろう。今回はオリンピックが間近に迫った北京でのインターネットアクセス環境を紹介しよう。


■多くのホテルがブロードバンドに対応
 日本では高級ホテルのみならずビジネスホテルでもブロードバンド環境を備えたホテルが増えている。特にリーズナブルな料金の全国チェーンホテルなどは最初からネット環境完備、利用無料を謳い文句にしているところも多い。日本国内の出張ならば今では旅先でのネットアクセス環境に悩むことは皆無に近いのではないだろうか。

 では海外での環境はどうだろうか? 特に中国と聞くと何となく「古いインフラ」、「不自由な環境」というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。しかし実情はというと、これがかなり進んでいるのだ。北京でも一流ホテルはもとより、ビジネスホテルや格安ホテルでも部屋にブロードバンド環境を備えたホテルが増えている。特に最近中国でも増えている格安ホテルチェーン(ホテルよりワンランク下の「イン/賓館」と呼ばれる)は、全店が無料でインターネット環境を備えているところも多い。これらのホテルは建物もここ数年で建てられたものが多いため、設備は値段相応で質素ながら清潔感がある。日本の海外ホテル予約サイトでもこれらのホテルを扱っているところもあるようだ。試しに北京のホテルを探してみると、3,000円前後の格安宿でもホテル設備に「インターネット接続設備」と明記してあるホテルが多いことに驚くだろう。もちろんこれらの設備は電話回線ではなくブロードバンド回線だ。

 ホテルの部屋に電話回線があれば、ノートPC内蔵のモデムからダイヤルアップでネットにアクセスすることもできる。しかし部屋にモジュラージャックがなかったり、電話回線の質が悪かったり、そもそもダイヤルアップでは速度が出ない。北京でネットアクセスを考えるならばブロードバンド接続を提供しているホテルを選んだほうが懸命だ。
 また古いホテルの場合はあとからブロードバンド回線を増設したところもあり、この場合は回線状況が思わしくないこともある。このあたりはホテルの予約サイトの「宿泊者の声」などを参考にしておいたほうがよいだろう。なおLANケーブルは備え付けの場合が多いがプラグが破損している場合もある。フロントに言えば交換してくれるが、念のため自分でも1本ケーブルを持っていったほうが安心だ。
「如家快捷酒店」「速8酒店」など、中国全土に店舗を持つ格安ホテルチェーンはほぼ全店にブロードバンド環境が整っている。なおホテル提供の地図は大雑把なものが多いので、予約の際は別途WEB上の地図などを参照して実際の位置を確認したほうが無難だ。駅のすぐそばと思ったら徒歩15分、なんてこともある。


■北京のスタバで無料でネットアクセス
 もしも不幸にしてブロードバンド設備のないホテルに泊まってしまった場合、あるいは外出中にどうしてもインターネットにアクセスしたい場合はどうしたらよいだろうか?
 北京にも最近は無線LANのホットスポットが増えている。ただし中国網通など固定電話事業者などがサービスを行っているため「有料、要契約」のものが多く海外からの旅行者などは利用できない。
 しかしレストランやファーストフード店によっては無線LANサービスを提供しているところもある。うれしいのは北京にもあるスターバックスだ。全店無料で無線LANを開放しておりコーヒーを飲みながらちょっとした仕事を片付けることも可能だろう。速度も1Mbps前後は出るので通常の利用には問題ないだろう。

 気になる中国の情報統制だが、海外のWEBサイトによっては中国からアクセスできないページもあると言われている。筆者が試した限りでは、日本の主要サイトは問題なくアクセスすることができた。保証することはできないが「ネットにつながったものの、何も見ることができない」という状況ではないようだ。
レストランによっては無料で無線LANを提供しているところもある。簡体字中国語の意味は「無線上網服務」=無線インターネットサービス、である。北京のスターバックスも無線LANは無料だ。ノートPCや無線LAN内蔵スマートフォンを持っていれば自由にネットアクセスできる。


■ノートPCユーザーにはパケット通信対応データカード
 移動中やどこでもノートPCからインターネットにアクセスしたい、という人にお勧めなのがパケット通信に対応したデータカードだ。日本の携帯電話も最近では海外で利用できるものも増えており、それをノートPCにつないでモデムとしてインターネットにアクセスすることができる。しかし海外での利用は別課金となるため、数ページのWEBサイトを見るだけであっという間に数千円の課金になってしまうこともある。そのため頻繁にインターネット接続を利用したいならパケット通信に対応した現地のデータカードを購入するのも手だ。

 パケット通信対応のデータカードはパソコンショップなどに売られている。とはいえ北京市内でパソコンショップを探すのは一苦労かもしれない。そうであれば市内からタクシーで20分くらいかかるが(地下鉄は現在工事中)、北京の秋葉原と呼ばれる「中関村」の電脳街へ行くのが手っ取り早い。コンピューター関係の大型ショッピングセンターが多数立ち並んでおり、ビル内にはパソコンやデジカメなどの専門店が多数入っている。それらの中でPCカードを扱っており、「EDGE」、「GPRS」のようにパケット通信に関係した表示をしている店であればデータ通信カードが販売されている。

 パケット通信対応データカードは通信方式により2種類の製品がある。EDG/GPRSE方式対応と、CDMA2000方式対応のものだ。形状はPCカードタイプのほか、USBタイプもあるので好みのものを選べる。なおデータカードを購入しただけでは利用できないので同時に「データ通信専用のプリペイドSIMカード」を購入し、データカードに装着して利用する。このプリペイドSIMカードは音声通話はできないが、パケット通信は「定額」、使い放題で利用できる。どちらも同じお店に一緒に売られているので同時に購入可能だ。また利用時には開通作業が必要だが、お店のほうでやってくれる。お店の店員さんは慣れているので、こちらが外国人とわかれば筆談などで対応してくれるはずだ。購入時にはデータカードのドライバが中国語対応のみのものもあるため、海外メーカーのカードを買うか、中国製のものなら購入時にパッケージ内の説明書を見せてもらうのがいいだろう。

 費用はデータカードが300-500元、SIMカードが33か月有効で300-400元くらい。日本円にすれば1万円弱の初期投資でいつでもどこでもノートPCからネットアクセスが可能となるわけだ。データカードは中国のほかの都市でも(EDGE/GPRSタイプなら同方式を採用する他の外国でも)利用できるので、将来他の都市を訪問するときにも利用できる。

 このように北京のインターネット接続環境は意外と整っている。電話線のモジュラージャック変換プラグの心配をしたり、日本の携帯電話を使って高いローミングパケット代を払う必要もなさそうだ。北京に行く際は安心してノートPCを持っていけるだろう。
CDMAやGPRS、このような表示を掲げているお店にパケット通信対応のデータカードとプリペイドSIMカードが販売されている。PCカード型やUSBタイプなど様々なデータカードが販売されている。プリペイドSIMカード(パッケージ写真)は有効期限別に価格が数タイプあり、有効期限内の利用は無制限。


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山根康宏
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