クリスマスシーズンは終わったが、銀座のイルミネーションは消えそうもない。むしろ、光に彩られた街は、時々刻々、成長しているかのようだ。

 銀座四丁目交差点を中心とした目抜き通りには、高級ブランド店の出店が相次いでいる。2007年だけでも、グッチ、ブルガリ、アルマーニなどの旗艦店がオープンした。2000年以降続いているこの傾向にはますます拍車がかかっている模様だ。

 言うまでもなく、各ブランドの狙いは、日本市場でのさらなる需要の喚起と勢力拡大および確保だ。不景気とは言われながらも、高級宝飾品や服飾品には多くの客が集まり、依然好調な売り上げを維持している。中でも特筆すべきは、デビアスの路面店(デビアス銀座ビル)の出店である。

 マロニエ通りに出現した奇抜な外見のこのビルには誰もが目を奪われる。これまで、謎に包まれていたデビアスグループの鬱憤を一気に晴らすかのような建物だ。

 南アフリカ共和国のヨハネスブルグに本社を置くデビアスは、長い間、ダイヤモンド原石の採掘・加工・供給会社として、世界市場を独占してきた。だが、そのブランド名を表に出すことはほとんどなかった。

 たとえば、年末の新聞各紙の広告をみればわかるだろう。「ダイヤモンドは永遠の輝き」というキャッチコピーには社名がない。ほとんどの読者が気づかない程度に小さく「デビアス」の名が記されているに過ぎない。

 世界のダイヤモンドビジネスを1世紀以上にわたって支配してきたデビアスグループが日本に進出したのは2001年のことだった。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)との合弁会社「デビアスLV」が、高島屋、松屋、伊勢丹などのデパートに小売店を出店したのだ。

 デビアスが、自社名を冠したグループ店を展開するとあって、当時の宝飾業界ではちょっとした話題になっていた。なぜなら、その特有のビジネスモデルが原因で、巨大企業デビアスは密かな商売を余儀なくされてきたからだ。

 映画『ブラッド・ダイヤモンド』などでも語られた通り、ダイヤモンドの歴史は必ずしも美しいものでなかった。

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