スコットランド・サッカー協会(SFA)は、2007-08シーズンから国内リーグにてビデオ判定を導入すると発表した。新たにSFAの最高幹部に就任したゴードン・スミス氏は、スコティッシュ・プレミアリーグでも多発するシミュレーションの取り締まりを強化すべく、審判に「ビデオの目」を与えると語った。

 今回SFAが導入するビデオ判定は、あくまでシミュレーションを対象としたもので、その使用は試合後に行われる。審判が試合中にシミュレーションを見逃したと判断した場合、試合後にビデオをチェック。不正が明らかになった場合は、対象となる選手にしかるべき罰則を与えるというもの。

 2008年1月1日から正式導入が予定されているシミュレーション対策について、スミス氏は「シミュレーションに対して、毅然たる態度で臨むべき」との決意表明を語った。

「ここ数年、スコットランドのサッカー界では、シミュレーションという悪しき習慣が根付きつつある。そして、多くの場合、シミュレーションは見逃され、選手は何の罰則も受けないケースが多い。むしろ、彼らの狙い通り、フリーキックやPKが与えられることが多いのだ。このようなシーンが多発すると、サッカー自体のイメージが傷つけられる。審判を欺いた人間が得をしているのだからね。だからこそ、SFAは2008年1月1日から、シミュレーションが見逃された場合でも、試合後に罰則を与えられるようにルールを変更する。問題は審判にあるのではない。ルールを守るべきなのは選手たちだ。トップレベルの選手には、サッカー界の模範になる義務があるはずだ」

 このルールについては、現場サイドからも歓迎の声が上がっている。ハイバーニアンのジョン・コリンズ監督は、「サッカー界のイメージアップに繋がるし、フェアなゲームが増える」とコメント。それでも、ビデオ判定に選手の意図が分かる人間を配置すべきとのアドバイスを送っている。

「審判がシミュレーションを見逃すこともあるし、誤審をする場合もある。だからこそ、私は今回のビデオ判定導入に大賛成だ。シミュレーションはサッカー界から追放すべきもの。ただし、気をつけなければならない点もある。シミュレーションをする選手をかばう訳ではないが、選手は時折、タックルを避けようとして、わざと倒れる場合もある。そうしなければ、タックルが足首を捕らえて、大ケガに繋がるといった場合があるからね。審判を欺こうとしたのか、それともケガを避けようとしたのか。そういった状況を判断できるのは、現役選手か元選手しかいないだろう」

 シミュレーションに対しては、各国のサッカー協会で取締りが年々厳しくなっている。その中でも、ビデオ判定という厳しい取締りに乗り出したSFA。審判協会が「サッカー界のイメージアップには不可欠」と語るその試みは、今後サッカー界のスタンダードになり得るだろうか。