40歳になった今、所属するチームが変わろうともインテルへの深い忠誠を誓い続けるGKパリューカ。青と黒のユニフォームを着て、最もスクデットへ近づいた98年。最終盤での頂上対決、ユベントス戦での不可解な判定へ抱いた怒りは消えることはない。

「ペナルティ・エリア内でユリアーノがロナウドを倒した、あのファウルに笛が吹かれなかったんだ。とても信じられなかったし、あれはもはや犯罪だよ。最近、(試合を裁いた)チェッカリーニ(元審判)のインタビューを読んだ。彼は今でも『あれはPKではなかった』と言っていた。信じられるかい?ふざけてるよ」

パリューカは、インテルでともに戦ったかつてのチームメイトへ最大の敬意を持っている。しかしその一人であるFWロナウドが、昨冬ライバルのミランへ移籍した。「もし彼がユーベに移籍していたとしても、いい気分はしなかったと思う。しかし、よりによってミランにだよ? 私だったら絶対にそんなことはしなかった! はっきり言えるのは、彼はインテリスタとしてのハートを持っていなかった、ということだ」

今夏の移籍市場でインテルから再びオファーの噂があった。ただし“控えGK”として。「プレーせずに見ているだけというのは好きじゃない。だが、もし本当にオファーがあればたぶん受ける。インテルがそう求めるのならば、受ける」と即答した。ミランとユベントスへの強烈なライバル心と限りないインテル愛。たとえリザーブでもいい、愛するチームへ最後の奉公を。パリューカがインテルで勝ち取ったのはUEFA杯だけではなかった。それは何より、インテリスタたちの心だったように思う。

弓削高志