バルセロナは1年越しでアーセナルのフランス代表FWティエリ・アンリを獲得し、クレ(バルサファン)の夢を叶えたことになり、世界でも脅威の攻撃陣を誇ることにもなった。と同時にフランク・ライカールト監督にとっては難しいカードを手にいれたことにもなり、「同じシステムでプレーするのはロナウジーニョ、エトー、メッシ、アンリ?」と新たな難題を突きつけられる結果となっている。

 バルサのシステムは4-3-3で、ロナウジーニョ、エトー、メッシの“REMトリオ”が不動のレギュラーだ。しかし、アンリが加入することで最前線のポジション争いが激しくなることは確実。ライカールト監督がシステムを変更するとは考え難いため、3トップのオプションとして

アンリを外す場合:ロナウジーニョ、エトー、メッシ
エトーを外す場合:ロナウジーニョ、アンリ、メッシ
ロナウジーニョを外す場合:アンリ、エトー、メッシ
メッシを外す場合:ロナウジーニョ、エトー、アンリ

 と基本4つのオプションが考えられる。4人のクラック達が同時にプレーすることは難しいと考えられるが、反撃に転じなければならない時など特別オプションとして、アンリ、エトー、メッシ、そしてトップ下にロナウジーニョ、とファンの夢が実現する可能性もある。

 ライカールト監督がローテーション制を採用するのかは分からないが、4人のクラック達のうち誰か一人はベンチから試合を見つめることになる。となると、クラック達から不満の声が出る可能性もあり得る。ジョアン・ラポルタ会長は先日の記者会見で選手達にプロとしての振る舞いを求め、チーム内の規律を強化していくと断言している。つまり、選手のエゴは許さないということだ。そうならないためにもライカールト監督をはじめとしたスタッフらのベンチコントロール能力がより重要となってくるということだ。

 またラポルタ会長は、ロナウジーニョとエトーがチームで続けること、本人達もそれを望んでいると断言している。しかし、ロナウジーニョ、エトーの放出の可能性がまったく消えたとは言い切れない。ヨーロッパのビッグクラブから魅力的なオファーが届いた場合、ロナウジーニョかエトーが環境を変える可能性もある。今現在、バルサにとって“アンタッチャブル”な選手はメッシだけとも言われている。

 夏の動きは始まったばかりであり、驚きの展開が生まれる可能性もある。いずれにしても4人のクラック達の起用法についてはライカールト監督のこの夏での大きな宿題となったようだ。果たしてどんな答えを出してくるのか、楽しみである。

(スペイン通信)