アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、タイトルレースから早期に脱落した今シーズンの戦い方について、自らの責任を認めた。

 シーズン中盤からマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーに大きく水を開けられたプレミアリーグに加え、チャンピオンズ・リーグ(CL)では決勝トーナメント1回戦で早期敗退を喫したアーセナル。さらに、FAカップではブラックバーンとの再試合の末に5回戦で姿を消し、決勝戦まで駒を進めたリーグカップではチェルシーに敗れて準優勝に終わった。4月を迎える前にすべてのタイトルレースから脱落する結果となったシーズンについて、ベンゲルは大会の優先順位を設定すべきだったと語る。

「この時期にタイトルを争っていないのは、アーセナルの監督になって初めてのことだ。無冠のシーズンもあったが、この時期には何かしらの大会で優勝を争っていたからね。今シーズンに限って言えば、FAカップを犠牲にしてでも、チャンピオンズ・リーグに力を注ぐべきだった。もちろんFAカップはクラブにとって重要な大会だが、早期敗退した昨シーズンは、チャンピオンズ・リーグで決勝に進出した。リーグカップの決勝進出が決まった時点で、FAカップのタイトルを犠牲にすべきだったのかもしれない。我々はFAカップで再試合を2度も戦った。これが、(CL敗退が決まった)PSV戦に大きな影響を与えた」

 さらに、自らの失敗を認めるベンゲルは、来シーズン以降はチャンピオンズ・リーグに重点を置いて戦う決意を固めたようだ。

「今シーズンはスケジュール的にも厳しかった。12月と1月には、2ヶ月間で17試合も戦っている。しかも、ケガ人や出場停止の関係で、選手をローテーションすることが不可能だった。その点で言えば、すべてのタイトルを獲得しようとした私が間違っていたのかもしれない。6万人のファンを前にすると、手を抜いて戦うことなど出来ないのだがね。しかし、来シーズン以降のリーグカップでは主力を休ませるつもりだ。とにかく、シーズン序盤はチャンピオンズ・リーグのグループリーグ突破を最優先に戦うべきだろう」

 失意のシーズンを冷静に振り返ったベンゲル。世代交代を進めながら、タイトルレースにも絡むという難題に取り組む知将にとって、「4冠獲得は時期尚早」と吹っ切れたことが今シーズン最大の収穫と言えるのかもしれない。