2019年春に「誕生する駅」 新線開業、震災からの復興、「下車できない」新駅も?
春は別れと出会いの季節。ダイヤ改正などに合わせてJR西日本おおさか東線では4駅が開業。京都鉄道博物館の近くや、東日本大震災からの復興に関連した新駅、道がつながっていない観光用の駅なども新たに誕生します。
おおさか東線延伸関連、鉄道ファン待望の駅も
ダイヤ改正や新年度の開始などにあわせて、新駅の開業が予定されています。ここでは、2019年の3月から4月にかけて誕生する新しい駅を紹介します。
3月16日(土)のダイヤ改正で誕生する駅は、JR西日本のおおさか東線延伸関連や、鉄道ファン待望の梅小路京都西駅など7つ。そしてJR東日本のBRT(バス高速輸送システム)路線で3駅です。
南吹田(JR西日本 おおさか東線、大阪府吹田市)
おおさか東線 放出〜新大阪間の延伸開業で誕生する駅です。駅周辺は住宅と工場が集まっています。
JRおおさか東線の南吹田駅(2018年11月、草町義和撮影)。
JR淡路(JR西日本 おおさか東線、大阪市東淀川区)
近くに阪急京都本線・千里線の淡路駅があり、乗り換えで利用する人も多そうです。ちなみに「淡路」という地名の由来は、菅原道真が淀川を船で下っているとき、当時中州だったこの地を淡路島と間違えたから、だそうです。
城北公園通(JR西日本 おおさか東線、大阪市旭区)
城北公園通は当駅の北でおおさか東線と交差する道路です。この道を東へ向かうと城北公園があります。大きな池と菖蒲園が有名だそうです。城北公園通駅から城北公園は、歩いて13分程度のようです。
JR野江(JR西日本 おおさか東線、大阪市城東区)
東側徒歩3分に京阪本線の野江駅、北西側徒歩6分で大阪メトロ谷町線の野江内代駅があります。駅同士は少し離れていますが、新たな乗り換えルートとして注目です。
梅小路京都西(JR西日本 山陰本線、京都市下京区)
京都駅の隣。東海道本線と山陰本線が離れていく場所、というよりも、ズバリ、京都鉄道博物館の目の前にできる駅です。梅小路公園、京都水族館の最寄り駅でもあります。「京都鉄道博物館駅」でも良さそうな気がしますが、鉄道ファンには「梅小路」とう単語があるだけで通じるかもしれません。
京都鉄道博物館は、2016年に梅小路蒸気機関車館を拡張リニューアルする形でオープンしました。しかし、鉄道をテーマにしていても、交通アクセスは路線バス、または京都駅から徒歩20分以上と、少し不便な場所でした。そこで、京都商工会議所が駅の新設を提案して誕生しました。2019年3月ダイヤ改正以降、京都鉄道博物館に電車で行きやすくなります。
福岡県や富山県でも新駅開業
糸島高校前(JR九州 筑肥線、福岡県糸島市)
糸島市の中心駅である筑前前原駅の隣に開業。駅の南には駅名となった糸島高校が、駅の北には福岡県の糸島総合庁舎があります。駅予定地に隣接する地区では区画整理事業が行われています。筑肥線の姪浜〜筑前前原間は複線化された通勤路線です。新駅の開業によって宅地開発がますます進みそうです。
栄町(富山地方鉄道 不二越線、富山県富山市)
富山地方鉄道の稲荷町駅と不二越駅のあいだにできます。稲荷町駅は富山地方鉄道本線と不二越線の分岐駅。不二越線の電車は富山駅を発着しており、栄町駅は富山駅からふたつ目の駅になります。付近には富山県立中央病院があるほか、専門学校の富山県立総合衛生学院があります。さらに4月からは富山県立大学看護学部も開校するため、通院や通学で便利になるでしょう。
岩月(JR東日本 気仙沼線BRT区間、宮城県気仙沼市)
2011(平成23)年の東日本大震災で被災し、鉄道からBRT(バス高速輸送システム)に一部転換し復旧した気仙沼線。そのBRT専用道区間に、地域の要望を受けて設けられます。周辺に民家が多いほか、2018年9月に地域の憩いの場、イベントの場所として「気仙沼ライトハウス」がオープンしています。
唐桑大沢(JR東日本 大船渡線BRT区間、宮城県気仙沼市)
大船渡線も東日本大震災で被災し、一部区間が鉄道からBRTに転換し復旧しています。唐桑大沢は地域の要望を受けて、BRTの一般道区間に設置される駅です。付近には漁港があるほか、高台に住宅区画が整備されています。景勝地として知る人ぞ知る荒谷前海岸は護岸工事で堤防が造られました。砂浜は消えましたが海の眺めは良さそうです。この駅と西下駅はバス停のようなポール標識が立てられるだけです。駅と言うにはちょっと……という感じではあります。
西下(JR東日本 大船渡線BRT区間、宮城県気仙沼市)
唐桑大沢と同様、地域の要望を受けて、BRTの一般道区間に設置される駅です。付近に民家が多く、コンビニもあります。小友浦海岸は防波堤を内陸に寄せて、干潟を再生する工事を行っています。完成予定は2020年です。
山口県に「下車できない駅」?
東日本大震災で被災し、不通が続いていたJR山田線の釜石〜宮古間は、JR東日本による復旧工事の後、同社から三陸鉄道に移管され、2019年3月23日(土)に盛〜釜石〜宮古〜久慈をつなぐ三陸鉄道リアス線として8年ぶりに運転が再開されます。釜石〜宮古間では、JRから三陸鉄道に継承される駅のほか、新たに2駅が設置されます。このほか、3月下旬に錦川鉄道、4月にJR東日本で臨時駅が開業します。
払川(三陸鉄道リアス線、岩手県宮古市)
三陸鉄道リアス線の開業に合わせて、豊間根〜津軽石間に開業。駅愛称は「新たな希望」です。宮古市は1日あたり103人の乗客を見込みます。払川地区は津波の被害がなかったことから、被災地域からの移住者が増えたとのこと。
八木沢・宮古短大(三陸鉄道リアス線、岩手県宮古市)
三陸鉄道リアス線の開業に合わせて、津軽石〜磯鶏間に新設される駅です。駅愛称は「八木沢川のせせらぎ」。近隣に岩手県立大学宮古短期大学部、宮古市立河南中学校、国立宮古海上技術短期大学校、岩手県立宮古水産高校があり、八木沢団地も整備されています。近年は災害公営住宅も整備され人口は増加しています。宮古市は1日あたり152人の乗客を見込んでいます。
清流みはらし(錦川鉄道錦川清流線、山口県岩国市)
3月19日(火)、錦川清流線で26年ぶりに開業する新駅です。錦川の清流を眺めるための“展望駅”で、イベント列車のみが停車します。展望スペースを設置するとのこと。利用したい場合はイベント列車の運行を確認しましょう。ちなみに、駅へ通じる道路はありません。
Jヴィレッジ(JR東日本 常磐線、福島県楢葉町)
4月20日(土)に臨時駅として開業予定。当面はイベント開催時のみ営業します。特急も停まれる長いプラットホームが用意されました。施設の「Jヴィレッジ」は1997(平成9)年に日本初、日本最大規模のサッカートレーニングセンターとして開設。しかし2011(平成23)年3月の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故以降は、国の事故対応拠点に転用されていました。避難解除の進捗により、2018年7月からトレーニングセンターとして復活しています。
【地図】岩手から福岡まで、2019年春に誕生する駅
岩手から福岡まで、2019年春に誕生する駅(国土地理院の地図を加工)。