「RADIO GA GA」つながりで、「ボヘミアン・ラプソディ」旋風もいい宣伝に(笑)。フレディ・マーキュリーと、クーパー演じるジャクソン…。2本とも”スターの孤独”に泣けちゃう/© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

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レディー・ガガの主演女優賞ノミネートをはじめ、ゴールデン・グローブ賞で作品賞・主演男優賞・監督賞など主要5部門の候補になってる(結果発表は現地時間2019年1月6日)「アリー/ スター誕生」。「希代の歌姫がオスカー獲っちゃう?」と高まる期待に加え、ブラッドリー・クーパーの見事な初監督ぶり&落ちぶれ演技ともども、賞レースの行方が気になるわー。恋と音楽、栄光と葛藤が交錯しながら迎えるエンディングは切ないけれど、恋人たちの純粋な絆と圧巻のライブ・パフォーマンスに心が震えまくる秀作! …ガガは、スッピンもカリスマだった!

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父と2人で暮らす主人公・アリー(レディー・ガガ)のたった1つの夢ー、それは歌手になること。昼は働き夜は小さなバーで歌う日々を送る中、自信が持てず夢を諦めかけていたアリーは、ある日、世界的シンガーのジャクソン(ブラッドリー・クーパー)と出会います。彼女の奇跡の歌声にほれ込んだジャクソンと全米のステージで一緒に歌い、瞬く間にスターダムを駆け上っていくアリー。激しく恋に落ちる2人でしたが、ジャクソンの栄光は徐々に陰り、人生を変えた恋には予期せぬ運命が待ち受けていたのでした…。

1937年の名作「スタア誕生」の3度目のリメイクとなる本作は、音楽業界を舞台にした1976年版がベースです。数年前にクリント・イーストウッド監督×ビヨンセで始動しましたが、なんやかんやでクーパーが巨匠から引き継ぎ初監督&主演と大奮闘。その結果、私的には「ガガじゃなきゃダメだった!」な仕上がりで、表現者・ガガならではのエモーショナルな演技を引き出した比類ない1本に!

演技は未知数のガガでしたが、まずは「こんなにかわいいの?」と驚いた。素朴な出で立ちや、恥じらったりする振る舞いが衝撃的に新鮮で(笑)。「容姿に恵まれていなかったから、戦った」と語るガガ。逆境と悲恋を経て成功をつかむアリーの姿に、そんな自分を重ねたかのような演技がとっても繊細なんです。愛と夢の間で揺れる”乙女なガガ”は激レアですよ! カントリーからロックまで、本領発揮の音楽でも酔わせてくれるし、お得だわー。

ガガの魅力を捉え切った監督・クーパーは、主観視点にこだわった”寄りすぎカメラ”が良かった! ジャクソン目線からほぼスッピンのガガを超アップで撮っていて、こっちはガガに見つめられて疑似恋愛状態(笑)。主演・クーパーも、脆さが恋愛にも影を落としていく複雑な男性像で共感を誘います。大スターが酒欲しさに入ったバーで「ラ・ヴィ・アン・ローズ」を歌う女(とその声)に射抜かれた出会いの夜…。ジャクソンのアルコール依存が巡り合わせた2人の宿命を暗示するその夜を、演出と演技で鮮烈に印象付けたクーパー。序盤から胸がうずいたよ…(泣)。

そして、クーパーやガガが手掛けた楽曲が彩るライブシーンの熱量は、数ある音楽映画の中でも特別! 彼らのパフォーマンスはすべて生収録で、口パクは皆無です。内面がさらけ出されちゃう”生で歌う”行為って、やっぱり迫力が違う。1回聞いただけの主題歌「シャロウ」が、耳から離れません。

音楽家は俳優として、俳優は音楽家&監督として…、影響し合いパワフルに花開いた”新しい才能”がまぶしい1本ですよー。おっとー、忘れるところでしたが、私が地味に推したい新たな才能は、ジャクソンの兄役サム・エリオットの”怒れる”演技! 無言の車をバックさせる数秒のシーンに、ヤラれました。 【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします!  最近のお気に入りは「クリード 炎の宿敵」(2019年1月11日公開)のマイケル・B・ジョーダン!(東海ウォーカー・おおまえ)