11月のAマッチウィークで、「アンドレア・ピルロ2世」と謳われる18歳のサンドロ・トナーリ(ブレッシャ)、技巧派MFのステーファノ・センシ(サッスオーロ)とともにイタリア代表に初招集されたのが、ホッフェンハイムに所属する25歳のヴィンチェンツォ・グリフォだ。
 
 実はこのグリフォ、ドイツ生まれのドイツ育ちという変わり種。イタリア人の両親の下、1994年4月7日に移民の子供としてシュツットガルトに近い街プフォルツハイムで生まれ、地元クラブとカールスルーエの下部組織で育成される。2012年にホッフェンハイムでプロとなり、フランクフルト、フライブルク、ボルシアMGを経て、今夏に古巣ホッフェンハイムに復帰した。
 
 このようにセリエAでのプレー経験が一切なく、招集歴のあるU-20とU-21代表でも大きな実績がないため、現地イタリアではアッズーリ初招集が驚きを持って伝えられ、「謎の存在」と訝しげな表現もされた。しかしグリフォは、代表合宿中に『スカイスポーツ』のインタビューでこう語っている。
 
「僕はドイツで生まれたけど、自宅ではいつもイタリア語を話していたし、自分が100%イタリア人だと感じているよ。アッズーリの一員になれて本当に嬉しいよ」
 
 精度の高い右足を武器に、インサイドハーフやトップ下、シャドーなどをこなすグリフォは、自身のプレースタイルについてはこう語っている。
 
「18歳になるまではずっとナンバー10でプレーしていたけど、フライブルクで左サイドもやるようになった。シュートやアシストが僕を成功に導いてくれたね。アイドルはずっとロベルト・バッジョだよ。祖父がいつもユニホームを買ってくれていたんだ」
 
 この“ドイツ生まれのイタリア代表”が、初招集されたアッズーリでどんな活躍を見せるのか、要注目だ。