11日の国際親善試合・ノルウェー女子代表戦を終えたなでしこジャパンは12日、鳥取市営サッカー場 バードスタジアムで練習試合・ガイナーレ鳥取U-18戦(30分×2本)に臨み、計0-2で敗れた。
 
 なでしこジャパンは練習試合後に解散し、2018年最後の代表活動を終えた。
 
 練習試合には、前日のノルウェー戦で先発しなかった選手が中心に出場。なでしこジャパンは寄せの速い鳥取U-18に苦しめられ、逆になでしこジャパンは寄せが甘いために、鳥取U-18に終始主導権を握られた。
 
 鳥取U-18と比べると、なでしこジャパンは選手の組み合わせが急造であることを考慮しなければいけないが、攻めの時間が短く苦戦を強いられた。
 
 練習試合には、8月のU-20女子ワールドカップで優勝した、U-20日本女子代表4選手も出場した。
 
 U-20代表キャプテンのDF南萌華(浦和レッドダイヤモンズレディース)は、60分フル出場した。
 
 急遽、鳥取U-18選手をなでしこジャパンチームに加え、南がその鳥取U-18選手とCBを組んだため、連係は難しい面があったが、相手のドリブルの方向を先読みして巧みに止めるシーンがあった。
 
 ノルウェー戦でなでしこジャパンデビューを果たしたFW宮澤ひなた(日テレ・ベレーザ)は、1本目と2本目の7分まで37分間出場した。ゴールキックからFW田中美南(日テレ)を経由して、宮澤がシュートに持ち込むチャンスはあったが、あまり攻撃に専念できず、得意のドリブルはノルウェー戦ほど披露できなかった。
 
 宮澤同様、なでしこジャパンデビューを果たしたMF長野風花(仁川現代製鉄レッドエンジェルズ/韓国)は、2本目の7分から23分間出場。MF猶本光(SCフライブルク/ドイツ)やMF杉田妃和(INAC神戸レオネッサ)とボランチを組んで、出場直後にFW菅澤優衣香(浦和)との連係でFW籾木結花(日テレ)のシュートを引き出し、守備でも貢献した。
 
 現役高校生のFW遠藤純(JFAアカデミー福島)は、2本目の7分から23分間出場。右CKのこぼれ球を押し込もうと放ったシュートは、鳥取U-18選手にカットされたが、厳しいチェックで相手のミスを誘い、それが田中のシュートにつながった場面もあった。
 
 高倉麻子監督はノルウェー戦後の会見で、長野に対しては「フル代表のシンプルなスピードや一歩というところでは、少し苦労したと思う」と評し、宮澤に対しては「スピードがあるので、そのへん(の苦労)はあまり感じなかったが、もうちょっと強引にシュートにいってもよかったシーンはあった」と評している。また、「経験を積んでいけば、今日(ノルウェー戦に)出られなかった選手(南と遠藤)にも可能性はあるなと感じている」と、合宿での印象を話している。
 
 練習試合後には「(U-20組は)慣れればできると思うが、もうちょっと見てみないと分からない。いいものは持っているので、そこは競争。競争がチームを強くすることは、みんなが理解している。6月(女子ワールドカップ)に向けて楽しみ」と話しており、U-20組に対してポジティブな発言が多かったことを考えると、女子ワールドカップに向け、これからも世代交代は進んでいきそうだ。
 
 しかしDF熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)が「U-20の選手は、チームにいい意味で刺激を与えてくれている。ただ、個人的にはもっと自分のプレーを出してほしいとも思う」と話すように、物足りなさを感じている数選手がいるのも事実だ。
 
 今回のノルウェー戦では、MF三浦成美(日テレ)など若手から中堅に差しかかろうとしている選手も評価を上げたはずで、ポジション争いは一層激しくなってきた。
 
 今回のU-20組の4選手中、長野を除く3選手は皇后杯 JFA 第40回全日本女子サッカー選手権大会を戦う。今回の代表招集から漏れた他のU-20組も、女子ワールドカップへの大枠には入っていると、筆者は見ている。
 
 まずは来年1月1日に決勝を迎える皇后杯の舞台で、再び自らの存在感を示してほしい。
 
取材・文●馬見新拓郎(フリーライター)