さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介するTOKYO FMの番組「ピートのふしぎなガレージ」。9月22日(土)放送のテーマは「アニメ」でした。日本初のアニメ「凸坊新畫帖 芋助猪狩の巻」が公開されたのは1917年(大正6年)。それから101年が経ち、今やアニメは日本が誇るカルチャーとして世界中のファンから支持されるようになりました。今回は「アニメ」について、TOKYO FMの番組の中で詳しい方に教えていただきました。
(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」2018年9月22日(土)放送より)

※写真はイメージです



◆「飛ぶ鳥を落とす勢いのアニメスタジオ」
映画評論家 清水節さん


── アニメ映画の注目株といえば?

今語るべきは「イルミネーション」でしょう。まだまだ日本ではその名前が浸透していませんが、ミニオンがマスコットキャラクターのアニメーションスタジオです。ここのキーマンは創業者でプロデューサーのクリス・メレダンドリという人物。今やピクサーやディズニーに肩を並べる勢いといっていいと思います。

メレダンドリがイルミネーションを立ち上げたのが2007年。そして2010年の「怪盗グルーの月泥棒」が最初の作品です。当時、アニメ映画はどれもストーリー至上主義で、近年のディズニーイズムを引きずっていました。そんな状況を見渡したメレダンドリが「キャラクターでいこう」と考えたのが画期的だったんです。

── ストーリーではなくキャラクターというのは具体的には?

簡単に言えばナンセンスコメディです。ディズニーのように泣かせる大作ではなく、笑わせる低予算の小規模な作品。そしてスピーディ。メレダンドリはこんなコンセプトで連作し、ミニオンの人気が異様に高まっていきました。

それで2015年に公開したのが「ミニオンズ」です。ディズニーの「アナと雪の女王」は制作費が1億5000万ドルくらいなのに対して、イルミネーションの作品はどれも7000〜8000万ドルくらい。そんな「ミニオンズ」が11億ドルという興収を記録しました。

── なぜそんなにミニオンが人気になったのでしょう?

メレダンドリはイルミネーションを立ち上げるとき、アメリカの優秀なスタッフが他の会社に押さえられていたので、ヨーロッパに目を付けました。だから制作部門の拠点はパリで、「怪盗グルーの月泥棒」もストーリーはスペイン人、キャラクターデザインはフランス人、音楽はブラジル系と、国際色豊かなスタッフで世界規模の展開を目指したんです。そういう意味では、メレダンドリは浦沢直樹の「PLUTO」を3DCGにする権利も買っています。

ちなみに「ミニオン」という言葉は英語で「子分」「手下」という意味です。あの黄色いキャラクターは、どうやら人間よりも先に地球に存在していた謎の生命体で、その時代ごとの悪党に仕えることが生き甲斐なんだとか。そんなわけのわからない設定と、キュートさと、チャップリンやバスター・キートンのようなユーモラスな動きで、世界中の子どもたちの心を掴んでいます。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)の博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・シンイチと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。10月6日(土)放送のテーマは「腕時計」。お聴き逃しなく!

<番組概要>
番組名:ピートのふしぎなガレージ
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage