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もくじ

ー オイル漏れが泣きどころ
ー ハンドリングに優れた6気筒がオススメ
BMW 6シリーズ(E63/64型)の中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見

オイル漏れが泣きどころ

自宅の庭から、シェールオイルが湧き出ていたりしないだろうか。もし、2003年から2011年に製造されたE63/64型のBMW 6シリーズを検討しているなら、必要な条件かもしれない。6シリーズは魅力的ながら、ロッカーカバーやブローバイホース、トランスミッションなどから、オイルが溢れてくるのだから。

一番は、なんといってもはじめからトラブルの少ないクルマを選ぶこと。無邪気な目が愛らしい、エレガントなBMW製のグランドツアラーではあるが、4.4ℓないし4.8ℓのV8エンジンも、甘美な3.0ℓ直6も、明確に過給された3.0ℓツインターボ・ディーゼルも、同じ弱点を持っている。

AUTOCARの読者なら誰もが、1980年代のCSiを覚えているだろう。あの記憶に残る素晴らしいクルマの後継モデルにも、同じ期待を抱くはず。14年後にモデルチェンジした6シリーズ、E63が登場したとき、そのスタイリングに誰もが驚かされた。多くのひとは、その新しいモデルには納得できなかったのだ。

発売当初は、332psを発生させたクーペボディの645Ciのみ。トランスミッションは、数が非常に少ないながらマニュアルと、シーケンシャルマニュアル、そして現在も豊富に残るオートマティックが選択できた。コンバーティブルも後に追加されている。

4人乗りとなる6シリーズの車内は、同時期のE60型5シリーズより上質。広々というわけではなく、リアシートに座るのが適しているのは子供のみ。しかし仕上げは、今見ても素晴らしい。ラゲッジスペースには、大きめのスーツケースがふたつ収まる。

ハンドリングに優れた6気筒がオススメ

257psを発揮する3.0ℓの直列6気筒エンジンを搭載したモデル、630Ci は、2004年の後半に登場する。新車状態では0-100km/h加速は6.5秒だったが、V8エンジンの645Ciは5.4秒で加速した。しかし、8気筒モデルの燃費は7.9km/ℓだったが、6気筒モデルの方が燃費では1km/ℓ以上も良かった。また、130kgほど軽量なため、ハンドリングでも優れ故障も全般的に少ない。中古車を買うなら6気筒がオススメだ。

2005年末には、4.2ℓからより強力な4.8ℓエンジンに置き換えられる。最高出力は367psとなり、0-100km/h加速は5.1秒に縮められた。加えて、燃費も0.7km/ℓほど改善している。もともとがさほど良くないけれど。

2007年には、エフィシエント・ダイナミクス・パッケージが追加され、CO2の排出量も改善。併せてモデル中期として、モデル名から「C」の文字が外れるとともに、フェイスリフトも施されている。最も大きな変化を受けたのが630iで、燃費は9.9km/ℓまで向上。パワーアップに加えてLEDのテールランプを装備し、フロント、リアともにエクステリアデザインにも変更を受けている。

同じタイミングでディーゼルエンジンを搭載した635dも登場している。ディーゼルのグランドツアラーは、当時としては斬新な存在だったが、BMWは自信があった。3.0ℓの直列6気筒は286psを発生し、0-100km/h加速は6.0秒で、マイナーチェンジされた267psを発生する630iより、わずか0.1秒劣るだけ。燃費は14.4km/ℓとなっている。

充分力強く燃費に優れ、CO2の排出量も少ない。英国の場合、新車当時は社用車として人気があったが、現在、中古車を買うようなエンスージアストにとっては、さほど魅力的なグレードとはいえないだろう。

というわけで、直列6気筒のガソリンエンジンが、ベストチョイスとなる。こまめなエンジンオイルのチェックはくれぐれも忘れずに。

BMW 6シリーズ(E63/64型)の中古車 購入時の注意点

ガソリンエンジン

エンジンのチェックランプが点灯している場合、カムシャフト・ピストンセンサーの不具合の場合がある。バノス・ソレノイドとアクチュエーターも故障しがち。

ロッカーカバーのガスケットやオイルフィルターケース、オイルライン、バルブタイミングユニット周りからエンジンオイルが漏れることがある。さらにV8エンジンの場合は、バルブステムシールやシリンダーの摩耗、ブローバイホースなどの不具合で、エンジンオイル消費が激しくなることがある。30秒ほどアイドリングをしてから、アクセルを煽って、排気ガスの白煙を確認する。6気筒エンジンは、オイルセパレーターのブローバイホースに不具合が起きやすい。

V8エンジンは水温が上がりやすく圧力も高くなりがちで、古いホースやサーモスタットも故障しやすい。エクスパンションタンクの割れにも注意。

ディーゼルエンジン

ターボプレッシャー・コンバーターとバキュームホースを点検する。クランクシャフトダンパーは割れやすい。インテークマニホールドと吸気弁はエア漏れしやすい。 ディーゼル・パーティキュレートフィルターの不調を引き起こす、排気ガス・サーモスタットの不具合も見逃さず。

トランスミッション

プラスティック製のカバーからフルードが漏れることがある。フィルターも一体となっているので、交換はしておきたい。フルード交換は不要とされてはいるが、16万km走ったクルマのトランスミッションに、フルードが2ℓしか残っていなかったことがある。本来の容量は6ℓ。変速ショックや、変速タイミングに不自然な遅れがないか確かめる。圧力センサーのオイル切れの場合がある。

サスペンションとブレーキ

路面の凹凸が、フロントのコントロールストラットやショックアブソーバを痛める。ストラットのヘタリで、ブレーキペダルを踏むと、不自然な振動が発生するようになる。リアのハブブッシュは痛みやすく、サスペンションスプリングは折れることがある。

電気系統

新しいバッテリーに交換した場合、コーディングが必要になる。

ボディとインテリア

サビに注意。ソフトトップのセンサーが故障する場合がある。バルクヘッドのドレインパイプがきれいかどうか、確認もしておきたい。

専門家の意見を聞いてみる

スティーブ・バック(A1BN/BMW専門店)

「エンジンオイル漏れは起きえます。ホースの亀裂や詰まり、ガスケットの劣化、トランスミッションの油量不足など。これらの不具合は珍しくありません」

「もし自分で買う場合でも、ここに記されている内容には気をつけます。事前にしっかり調べて、よく見ずに買わないことが大切です。当店でも可能なサービスなのであえていうなら、専門家に、必ずしっかり一度、走り出す前に点検をしてもらうと良いでしょう」

「当店では102ポンド(2万円弱)を費用でいただいています。数時間要しますが、クルマの隅々まで点検を行います。そして、不具合を洗い出すのです」

知っておくべきこと

6シリーズのソフトトップは故障しがち。英国の場合、ケイマンオートサービスなど、ソフトトップの専門店があり、交換するよりも安く修理してくれる。

いくら払うべき?

3000〜5495 ポンド(43万〜79万円)

初期の645Ciで、走行距離は16万km以上。中には整備記録が揃ったものもある。

5500〜7495ポンド(80万〜109万円)

645Ci中心ながら、カブリオレや2005年〜2006年の630Ciも含まれてくる。また650Ciで16万km以下のクルマも、この価格帯で探せる。

7500〜1万995ポンド(110万〜159万円)

2006年〜2008年の630iが中心で、走行距離は14万km前後。また低走行距離の645Ciや650iも見つけられるだろう。

1万1000〜1万2995ポンド(160万〜189万円)

2007年〜2009年の635dの場合は、走行距離は16万km以上。ガソリン車の場合は選択肢が多い。

1万3000〜1万7995ポンド(190万〜260万円)

2008年〜2010年の、走行距離もほどほどの635dが探せる。

掘り出し物を発見

BMW 630Ciスポーツクーペ 登録2007年 走行14.4万km 価格8495ポンド(122万円)

BMWの正規中古車で現在不具合もなく、ディーラーでの整備記録も揃っているようだ。モナコブルーのボディと、クリームホワイトのレザーインテリアにウッドトリムが付き、パノラミック・サンルーフとナビゲーションも装備している。かなり魅力的なチョイスがされたクルマだと思う。