セリーナ・ウィリアムズの振る舞いは様々な意見を呼んでいる【写真:Getty Images】

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4大大会通算49勝ナブラチロワさんがNY紙でコラム展開「セリーナは何を過ったのか」

 テニスの全米オープンで男女シングルス日本人初優勝を果たした大坂なおみ(日清食品)。決勝ではセリーナ・ウィリアムズ(米国)が主審への暴言などで警告を受けるなど取り乱す一方で冷静さを保ち、表彰式ではブーイングの観衆に涙の謝罪をするなど優しさを見せた。シングルス、ダブルスで4大大会優勝計49度という女子テニス界のレジェンドは、セリーナの振る舞いに苦言を呈する一方で「試合中も試合後も本当に感動的だったのはオオサカさん」と人間性を絶賛している。

 4大大会23勝を誇るセリーナの振る舞いは様々な意見を呼んでいるが、かつての女王マルチナ・ナブラチロワさんは容赦なかった。チェコと米国の二重国籍を持ち、グランドスラムでシングルス18勝、ダブルス31勝を挙げた天才レフティーは「セリーナは何を過ったのか」とタイトルをつけ、地元紙「ニューヨーク・タイムズ」でコラムを執筆している。

 セリーナは劣勢に立たされた第2セット、客席からのコーチングをきっかけに客席からの指導で注意を受けて憤慨。その後もラケット破壊、度重なる暴言で計3度のペナルティを受け、試合後もカルロス・ラモス審判による性差別を主張していた。しかし、コラムではセリーナに対し、厳しい論調を展開している。

セリーナ・ウィリアムズはある部分では正しい。素行不良がいかに罰せられるのかについては、大きなダブルスタンダードが存在する。そして、テニス界だけではない」と理解を示しながら、「男子が見逃されているのだから、女子だって見逃されるべきだ、という考えは賢くない」とセリーナの主張に言及した。

 その上で「我々は自問自答すべき。我々の競技を尊重し、対戦相手に敬意を払うための正しい流儀は何なのか、ということを」と訴えかけている。セリーナはコーチング違反、警告を受けた状態でのラケット破壊、主審への暴言によるペナルティの3点で警告を受けたが、ナブラチロワさんは「それ以外に選択肢はなかった」とラモス主審の判断も全面的に支持している。

セリーナのラケット破壊に苦言「私も何度も粉々にしたいと思った。でも…」

 ゲームを失った瞬間のラケット破壊については「私も現役時代に何度も自分のラケットを粉々にしたいと思った。でも、その時は子供たちが見ていると考えた。そうすることで、渋々でもラケットを収めていた」と女王の流儀を説明。セリーナが04、09、11年の全米オープンでもコート上で騒動を起こした経緯とともに、今回の行動で大坂が被害者となったことも指摘している。

「(審判との)長い衝突の後、試合は再開となった。ナオミ・オオサカは彼女自身にとっても日本にとっても初のメジャータイトルだったが、こんなドラマとブーイングの攻撃の中で優勝を勝ち取った。私の見る限り、こんなグランドスラム決勝を見たことがない」

 前代未聞の決勝と振り返る一方で、「ウィリアムズさんは試合後に確かにオオサカさんに素晴らしい態度を見せた。真の王者とも言えるかも知れない。オオサカさんの試合中、そして、試合後の振る舞い方こそが、本当の意味で感動的だった」と新女王・大坂の人間性を高く評価している。

 セリーナは表彰式でブーイングを止めるよう、観衆に訴えたが、そもそも異様な状況を生み出したのはセリーナ自身。セリーナファンで埋め尽くされたスタンドの完全アウェーの雰囲気にも打ち勝ち、栄冠を掴み取った晴れの表彰式では涙ながらにファンに謝罪した。誰も真似できないナオミの流儀にかつての絶対女王も称賛を送っている。(THE ANSWER編集部)