被災地での撮影に配慮を呼びかけ(写真はイメージ)

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西日本豪雨で甚大な被害のあった岡山県倉敷市内などで、ボランティアやマスコミが壊れた家にカメラを向けて被災者が困っていると、関係者がツイッターなどで訴えている。

ボランティアの支援や、現状についての報道を通じて援助が受けられることには、被災地の人から感謝する声が多いが、「記念撮影」など一部のマナー違反には戸惑いも広がっている。

「記念撮影」する人たち

「ボランティアに来てくれるのはありがたいが、自分の家の状況を写真に撮ってSNSにあげるのはやめてほしい」

広島県内在住という「広島 ボランティア 情報」さんは2018年7月15日、ツイッター上で、ある被災者が泣きながらこう訴えていたとの情報を投稿した。

これはボランティアセンターの関係者からの情報だといい、「広島 ボランティア 情報」さんは、「大切なお話です」「被災地で写真を撮るときは配慮をお願いします」とボランティア参加者に呼びかけている。

この投稿は、大きな反響を呼び、16日昼過ぎ現在で8000件ほどもリツイートされている。

リツイートの中には、「やった成果を誇りたい気持ちは分からないでもない」との声もあったが、一部のボランティアに対しては厳しい指摘が多い。「もしも傷ついた自分や家族にカメラを向けられたらどんな気持ちになるか」「相手の気持ちを考えて、行動しましょう」「ボランティアを自己満足と勘違いされない姿勢が問われる」などと書き込まれている。

岡山県では、倉敷市社会福祉協議会が7月14日、フェイスブック上などで「被災された方への配慮」を呼びかけた。

「一部のボランティアによる記念撮影などで戸惑われている地元の方もおられます。不要な撮影はボランティアへの信頼を損ねる原因になるため自粛ください。どうしても撮影したいときは必ず許可を得てください」

避難所で「寝る所を用意して」

また、マスコミの取材で写真やビデオの撮影が多くなって被災者が戸惑っているとも指摘し、「被災された方々へのお気持ちやプライバシーを配慮し、マナーある行動と言葉遣いをお願いします」と書いている。

倉敷市社会福祉協議会の次長は7月16日、J-CASTニュースの取材に対し、被災者からボランティアへの苦情を数件聞いたと明かした。

「ボランティアセンターで受け付けをせず、勝手に活動して、避難所で『水がほしい』などと言ってくる方も一部でおられます。ボランティアの寝る所を用意すべきだという方もおられました。これでは、被災者に回るべきものがなくなってしまいます。センターを通さずに入って熱中症になったり、半袖の軽装でケガをして搬送されたりするなど、活動にも支障を来たしています。写真など個人が特定できるものは、SNSなどに勝手に上げないでほしいですね」

マスコミの取材についても、苦言を呈した。

「撮影の許可をしないわけではないのですが、センターを通さずに、いきなり被災者の家に行って、『よろしいですか』とインタビューすることもあったようです。スタッフの人出が足りないところ、ボランティアが何人来たかなどを放送の時間までに教えて下さい、といった依頼もありました」

報道ヘリの音がうるさくて電話の声が聞こえない、といった不満も出ているそうだ。

ただ、被災者への支援はしてほしく、報道されないと現状が伝えられない面はあると言う。「ありがたいですが、痛し痒しです」と話していた。