OptimusにもG-SYNCにも対応する超薄型ゲーミングノートパソコン「ROG ZEPHYRUS M」登場!

ASUS JAPANは6月20日、東京・赤坂にある同社直営店舗「ASUS Store Akasaka」にて「PC夏秋モデル新製品発表会」を開催し、ノートパソコンを中心に合計17製品・33モデルを発表しました。発表されたノートパソコンシリーズのうち4製品・8モデルがゲーミングモデルとなっており、同社のゲーミングPCブランド「ROG」(Republic of Gamers)で6月23日より発売が開始されています。

その中でも「ROG ZEPHYRUS」シリーズは厚さ20mm以下の超薄型ゲーミングノートパソコンとして注目を集めるモデルですが、今回このラインナップに「ROG ZEPHYRUS M」シリーズを2モデル追加。キーボード配置を一般的な構造に戻しつつも20mm以下の厚みを維持し、グラフィックスチップに廉価なGeForce GTX 1070およびGeForce GTX 1060を搭載するなど、実用性とコストパフォーマンスを重視したパッケージとしていながら、144Hz駆動のディスプレイやG-SYNCに対応するなど、ゲーミング用途に最適化された最先端の性能を有しています。

「ROG ZEPHYRUS M」2モデルの共通スペックはCPUがIntel Core-i7 8750H、メインメモリが16GB、内蔵ストレージがSSD 256GB(PCIe接続)およびSSHD 1TBの2ドライブ構成。一般販売モデルである「GM501GS-I7G1070」はGPUにGeForce GTX 1070(VRAM 8GB)を搭載し価格は289,800円(税別)、ASUS ShopおよびASUS Store AKasaka限定モデルとなる「GM501GM-I7G1060」はGPUにGeForce GTX 1060(VRAM 6GB)を搭載し価格は194,259円(税別)となります。

発表会場で「ROG ZEPHYRUS」および「ROG ZEPHYRUS M」の実機に触れる機会がありましたので、「ROG ZEPHYRUS M」を中心に写真とともにご紹介します。


ASUSのゲーミングブランド「ROG」のロゴ


■独特の筐体デザインを捨てて実用性を重視
「ROG ZEPHYRUS」(以下、GX501)と言えばキーボードが前方に配置された独特の筐体デザインが特徴でした。この配置にすることで筐体奥側に十分な空間を作り、さらに底面が開く変形ギミック「アクティブエアロダイナミックシステム」(AAS)と合わせて大きなエアフローを確保することで、厚さわずか16.9mm〜17.9mmという超薄型筐体にGeForce GTX 1080 Max-Qの搭載を可能としていました。

「ROG ZEPHYRUS M」(以下、GM501)シリーズでは一般的な「奥にキーボード、手前にタッチパッド」という配置へ戻したことで厚みが17.5〜19.9mmと若干厚くなったものの、1〜2クラス下のグラフィックスチップの搭載やGX501同様に底面が開くAASの実装などにより、温度上昇によって動作速度が低下するサーマルスロットリングが起こらない構造を実現しています。


GX501と言えばこのキーボード配置。マニアックな配置でもありこだわりの強いユーザーが多い



GM501ではキーボード面のデザインインパクトは落ちたが一般的なノートパソコンと同じように使える汎用性の高さが良い



ディスプレイ面を開くと連動して底面が開きエアフローを確保するAAS。開口部が赤く光るのも所有者欲をくすぐる演出だ


天板にはヘアライン加工が施されたアルミ合金を採用。ROGのロゴマークは電源を入れると赤く光るギミックが内蔵されています。

ディスプレイには15.6インチ・フルHD(1920×1080ドット)IPS液晶を搭載し、リフレッシュレート144Hz駆動に対応している点が大きな特徴です。またディスプレイの応答速度は3msとIPS液晶モデルとしてはかなり速く、発色が良く視野角も広いIPS液晶で144Hz対応の高速応答ディスプレイというだけでも大きな選択肢となる可能性があります。


ヘアライン加工は2方向に分けられ立体的で先鋭的な印象を与える



144Hz駆動+応答速度3msのディスプレイはFPSやレースゲームなど画面描写が激しく移動するゲームで威力を発揮する


■OptimusとG-SYNCの両対応!?魔法のような衝撃のGPUギミック
GX501のもう1つの大きな特徴がOptimus(Optimusテクノロジー)とG-SYNCの両立です。OptimusとはCPUに内蔵されたGPUとディスクリートGPU(外部GPU、ここではGeforce GTXシリーズのグラフィックスチップ)を電源の状況に応じて自動的に切り替える機構で、AC電源に接続されている時はディスクリートGPUで動作し、バッテリー電源に切り替わった瞬間に自動的にCPU内蔵GPUへと切り替えて消費電力を抑えるものです。

PCの電源を切ることなくシームレスにGPU動作を切り替えるOptimusは非常に便利な機能ですが、この機能を実装したパソコンではG-SYNCが利用できないという制約がありました。

G-SYNCとはGPUによる画面の描画フレーム数とディスプレイの垂直同期タイミングを合わせるという可変同期システムのことで、画面描写がずれて表示されるティアリングや不規則に描画がカクつくスタッター現象を大きく低減させる技術のことです。

一般的な動画視聴やウェブサイトの閲覧などではこういった技術は必要ありませんが、GPUを駆使しその描画のフレームレートが大きく可変する3Dオンラインゲームなどでは大きな効果を発揮します。とくに、ゲームによっては処理性能が若干不足する可能性があるミドルレンジクラスのGPUと相性の良い技術でもあるため、GeForce GTX 1070やGeForce GTX 1060といったGPUと組み合わせた点は実に理にかなっていると言えます。

どんなにリフレッシュレートや描画応答速度の速いディスプレイであってもティアリングやスタッターが発生してしまっては何の意味もありません。このG-SYNCに対応しているかどうかはPCゲーマーにとっては大きなポイントであり、Optimusに対応しつつもG-SYNCにも対応したGM501は上位機となるGX501に大きなアドバンテージを持つ弟分ということになるでしょう。

なおOptimusとG-SYNCの利用は排他となり、GM501にプリインストールされたコントロールアプリ「GAMING CENTER」によって切り替えて利用します。


GAMING CENTER画面。左下にある「GPUモード」でOptimusとG-SYNCの利用を選択できる


■スマホからPCの設定を変更できる!
前述したGAMING CENTERアプリではGPUモードの切り替え以外にもCPUやGPUのオーバークロック設定、冷却ファンの回転速度設定、メモリー周波数の設定、キーバインド設定など多数のパソコン設定を変更およびプリセットできます。

このGAMING CENTERにはスマホやタブレットと連携し、それらのモバイル端末から設定の変更や確認が行える機能があります。


モバイル端末側からは「ROG GAMING CENTER」というアプリを利用する


連携できるのはAndroid端末およびiOS端末で、接続にはWi-FiとBluetoothの2つが利用できます。GAMING CENTER内に各OS用のモバイルアプリをダウンロードするQRコードも表示できるため、簡単にインストールできます。


GAMING CENTER内の左上の「Downlord App」をクリックすると……



各アプリストアのQRコードが表示される


モバイルアプリで出来る設定内容はパソコン用のGAMING CENTERとほぼ同様となっています。ともすればパソコンの動作設定をモバイル端末で制御できることの意味に疑問を感じがちですが、ゲームプレイ中やフルスクリーン設定でゲームを動作させている際はゲームを中断して別ウィンドウを表示させて設定を変更するといった作業が難しく、またゲームプレイを妨げるため、パソコンから切り離されたスマホなどでリアルタイムに設定変更ができることには大きなメリットがあります。

GAMING CENTERアプリとモバイル端末との連携機能は、GM501だけではなくGX501やその他のROGブランドのノートパソコンであればほぼ全てで利用可能とのことです。


パソコンの動作状況をリアルタイムにスマホで確認できるだけでもゲーマーとしてはとても嬉しい



動作設定をあらかじめプロファイル化してプリセットしておけばスマホで簡単に動作を切り替えられる。衝撃の使いやすさだ


■描画品質とコスパ重視のスタイリッシュゲーミングノートパソコン
ROG ZEPHYRUSシリーズはROGブランドの中でも「スペシャルエディション」というカテゴリーに属しており、ゲーミングノートパソコンであっても筐体デザインや薄さにこだわった「特注品」的な位置付けのシリーズです。今回そのシリーズに安価な2モデルがラインナップされたことは、同シリーズが一定の支持を得たという手応えがあったからではないでしょうか。

とくに今回新たにラインナップされたGM501シリーズはキーボードを一般的な配置に戻したりGPUのクラスを落とすことでコストパフォーマンスの良さを引き出しつつも、144Hz駆動・応答速度3msのディスプレイでG-SYNCの利用を可能とするなど、ゲーミング環境として一切妥協のない仕様に仕上げてきた点は大きく評価できます。

価格についてもGX501が349,800円(税別)であるのに対しGM501の一般販売モデルで289,800円(税別)、ASUS ShopおよびASUS Store AKasaka限定モデルでは194,259円(税別)とするなど、いわゆる「プレミアムモデルに飛びつくニッチ層」以外への訴求を図っている点も嬉しい点です。

デスクトップパソコンは邪魔で置けないという方や、ゲーミングノートパソコンでもある程度持ち運びやすくデザインの良いマシンが欲しいという方、そしてゲーミングノートパソコンであっても3Dゲームの描画品質で妥協したくないという方にもオススメのシリーズです。


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記事執筆:秋吉 健


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