NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの過去をどれだけ知っている？ 複雑すぎる携帯電話事業者の生い立ち
テレメタリング以外のすべてのプランを終了するため、個人ユーザーにとって今回の発表は、実質ウィルコムのサービス終了のお知らせとなる。
往年のウィルコムユーザーが、このニュースに落胆したのは言うまでもない。
しかしウィルコムに馴染みのない人や、若年層の携帯電話やスマホ利用者にとっては、
「そういえば、最近ウィルコムって聞かないね？」
「ウィルコムって何？」
と、思う人も多いのではないだろうか。
ウィルコムは、以前は独立した通信事業者だったが、
現在ではウィルコム沖縄を除いて、ソフトバンク内のワイモバイルブランドとして展開されているPHSサービスとなっている。
こうした変化はウィルコムだけではない、
そもそも通信業界は、これまで買収や合併によって、再編を繰り返してきているのだ。
現在の主要キャリアと言えば、NTTドコモ、KDDI au、SoftBankの3社だ。
しかし、この大手の主要キャリアにも、さまざまな過去がある。
今回は、現在の主要キャリアのルーツを探ってみよう。
●NTTドコモ
現在のNTTドコモは、日本電信電話株式会社（NTT）の移動体通信業務を分離された通信事業者だ。
当初は「エヌ・ティ・ティ・移動通信企画株式会社」という名称で設立され、2008年には各地域会社を合併して全国1社の体制になった。
ちなみにブランド名のドコモ（docomo）は、
「Do Communications over the Mobile network」の頭文字をとった名称となっている。
●KDDI
2000年に第二電電（DDI）とKDD、日本移動通信 (IDO) が合併してできた電気通信事業者。
携帯電話事業は「au」ブランドとして展開している。そのため、社名はKDDIで、auはあくまでもブランドネームである。
2004年にPHS事業の子会社「DDIポケット」（後のウィルコム）について、カーライル・グループからの買収に合意し、2005年に移行手続きが完了する。
一方で、2005年には、ツーカーセルラー東京、ツーカーセルラー東海、ツーカーホン関西を吸収合併した。
なお、1991年設立の沖縄セルラーは、単独で株式を店頭公開し、上場している関係から、KDDIに吸収合併はされていないが、auブランドで携帯電話事業を展開している。
●SoftBank
関東甲信越、東海、関西地域における「デジタルホン」グループと、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州地域における「デジタルツーカー」グループが、1997年から共通ブランド「J-PHONE」を展開。
その後、日産の撤退により、デジタルホングループがデジタルツーカーグループを吸収合併することになった。
2000年には日本テレコムとボーダフォンの出資会社「ジェイフォン」がデジタルホングループを傘下にし、吸収合併するなどで1社に集約する。
その後、日本テレコムおよびジェイフォンはボーダフォングループとなる。
2006年にボーダフォン日本法人をソフトバンクが買収し、ソフトバンクモバイルが誕生した。
2015年にソフトバンクモバイルがソフトバンクの商号を継承。
●ワイモバイル
イー・アクセスがソフトバンクの完全子会社化されたのち、ウィルコムを吸収合併する。
2014年に「ワイモバイル」に社名変更し、イー・アクセスとウィルコムのブランドを「Y!mobile」に統一した。
2015年にソフトバンクに吸収合併され法人としては解散。
現在はソフトバンクグループの1ブランドとして展開している。
●UQコミュニケーションズ
2007年にKDDIの100%出資子会社「ワイヤレスブロードバンド企画株式会社」として設立。
2008年にUQコミュニケーションズに社名変更し、2009年から「UQ WiMAX」のサービス名称でBWA（Broadband Wireless Access）を展開。
2015年からは、au 4G LTEのMVNOである「UQ mobile」も展開している。
かつてのデジタルホンやデジタルツーカーなどは、出資比率によって社名も異なり、幾度となく合併や買収が繰り返している。
ウィルコムについては、元はKDDI系のPHS事業者だったのだが、カーライルに売却された後、現在はソフトバンクがサービスを提供しているという数奇な運命を辿っている。
こうしてみると、現在でもブランド名はいくつかあるが、移動体通信事業者となると、大きく分けてNTTドコモ、KDDIグループ、ソフトバンクグループの3社に集約された格好となっている。
2106bpm
