日大アメフト部や国会での言い逃れ答弁…大の大人がコミュニケーション不全に陥っている我が国の現状を嘆く声は、あちこちで聞かれます。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、マンション管理組合の揉め事もコミュニケーションのありかたに問題がある場合が多いと指摘した上で、「信頼関係の作り方」を記しています。

相手に伝わってこそコミュニケーション

こんにちは! 廣田信子です。

「コミュニケーションはキャッチボール」コミュニケーションについて説明するときに、最初によく使われるフレーズです。「キャッチボール」は、相手が受け取って初めて成り立ちます。相手に「キャッチボール」を教える場合は、相手の力量を見ながら、投げるタイミングやスピード、投げる位置も考えて投げます。投げる時の雰囲気や声かけも大切です。

相手が受け取れないような言葉の球を投げるのは、コミュニケーションではありません。誰かといっしょに何かをしようと思ったら、コミュニケーションが不可欠です。

チームにとって一番大切なのは、目的を共有し、それぞれが、何のために、今自分が何をすべきかということを納得していることです。それが、結果を出すために一番重要なことです。会社の経営者やプロジェクトのリーダー、スポーツチームの監督やコーチの一番大切な役割だと思っています。

回りくどいことを書きましたが…このところ大きなニュースになっている日大アメフト部の問題で、問題の大学関係者、監督、コーチの発言を聞いていて、こんな人たちに大切な若者が任されている現状に心穏やかではいられません。

監督とほとんど会話を交わす機会もなく、選手は、理由もわからず一方的に指示される。しかも、選手を理不尽に追い込み、自分は言い逃れができる状況で、相手をけしかける。言った言わないの問題ではありません。その姑息さ、それにも気づいていない鈍感さに、「痛さ」さえ感じます。こんなコミュニケーションもできない人たちを勝利至上主義で、監督だ、コーチだといって祭り上げてきた周りの人たちも含めて罪は大きいと思います。

最近は、こういうことがどんどん表に出てきます。国を動かす立場にいる人たちの国会での言い逃れ答弁を聞いていても、今回の日大アメフト部の監督の話を聞いても、アラフィフの私たちの年代が、次の世代の手本にならないどころか、次の世代を殺しているようで、何だかいたたまれないです。

そして、こういったことは、実は、身近にも転がっているのです。

相手に伝わって初めてコミュニケーションが成り立つということをわかっていない人はたくさんいます。いろいろな組織、マンションの管理組合の紛争の元も、多くはここにあります。

今期、管理組合の理事長になられた方に改めてお願いしたいです。コミュニケーションなくして円滑な管理組合運営なし。相手に伝わってこそコミュニケーション。どんなことも、相手にきちんと伝わっているか確かめながら、進めてくださいね。

私は何か新しいことをするときコーチにつくのが好きです(自分も一応コーチをしますので)。今の私のコーチは、10分に1回は、私に、「何かわからないことありますか」と聞きます(笑)。で、私はたいしたことじゃなくても何でも聞いてみます(笑)。

このコミュニケーションで、信頼関係がつくられていくのです。

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