川崎は今季ACLで1勝もできずに大会を去った。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ最終節が4月17・18日に行なわれ、決勝トーナメントに進む16チームが出揃った。Jリーグからは唯一、鹿島アントラーズがグループHを2位で突破したが、日本勢の結果は韓国でも報じられている。
 
「“ACL”ショッキングな日本サッカー、3チーム脱落+歴代最低成績」(『スポーツ韓国』)
「ACL16強の勢力図……“復活”Kリーグ、健在な中国・没落した日本」(『new1』)
 
 といった具合だが、出場4チーム中1チームだけが決勝トーナメント進出となった日本勢に対し、同じく4チームが出場した韓国勢は3チーム(全北現代、蔚山現代、水原三星)が16強入りしただけに、両国の結果を比較する報道が目立っている。
 
「決まったACL16強チケット……明暗分かれた東アジア3か国リーグ」とヘッドラインを置いたのは、『スポーツ・ソウル』だ。「Kリーグと中国スーパーリーグがにっこり笑い、Jリーグはうなだれた」と切り出した記事は、日本勢と韓国勢、中国勢(韓国と同じく4チーム中3チームが16強入り)の結果を比較し、日本勢に対して「ACLグループステージの成績は歴代最悪レベル」などと厳しい評価を下した。
 
 また、前出の『news1』も、同様に東アジア3か国の結果を比較している。記事では、韓国勢が昨季、出場4チームのうち済州ユナイテッドだけが16強入りしたことを振り返りながら、「Kリーグが昨季の不振から脱し、中国勢も変わらぬ強さを見せた。その一方で、昨季優勝チーム(浦和レッズ)を輩出した日本のJリーグは、失望してしまう結果を出した」と報道。今季の日本勢の結果について「悲惨だ」とし、「韓国と中国が笑ったが、逆に日本は泣きべそをかいている」と伝えた。
 
 日本勢と韓国勢の結果を真正面から対比したのは『スポーツ東亜』だ。「“ACL凄まじい勢い”Kリーグが羨ましいJリーグ、総体的難局に陥る」と見出しを打った記事では、韓国勢の結果について「Kリーグは順調に航海している」と紹介したうえで、「その反面、Jリーグは憂鬱だ」と日本勢に視線を移し、「(日本勢は)クラブ対抗戦で力を発揮できない最近の流れを止められずにいる」と指摘。

 日本勢から1チームだけ16強に進出するのが2013年以来5年ぶりであることを強調しながら、韓国勢と中国勢の結果が「Jリーグをより一層つらい気持ちにさせている」と伝えた。
 また同記事では、JリーグがACL出場チームに配慮してリーグ戦の試合日程を変更していることや、日本サッカー協会(JFA)がACLで好成績を挙げたクラブに大会賞金とは別にボーナスを支払っていることにも触れ、「それなのにほとんどのチームが脱落しただけに、決まりが悪い」と報じている。
 
 一方、来季から日本勢の出場枠が縮小することに触れたメディアもあった。周知の通り、今季まで本戦3枠、プレーオフ1枠だった日本勢の出場枠は、AFC加盟国のクラブランキングに基づき2019年、2020年大会は本戦2、プレーオフ2となる。前出の『スポーツ・ソウル』は、「5年ぶりに1チームのみがACL16強に進出したJリーグ、今後の出場権縮小を心配」と題した記事で、この変更について説明しながら、「日本はACLにおいて立場がなくなることを心配している」と綴った。
 
 ACLグループステージの結果で明暗が分かれた日本勢と韓国勢。昨年はKリーグ勢が1チームしかグループリーグを突破できなかったが、今回は日本がその憂き目に合うことになってしまったのだからなんとも複雑だ。
 
取材・文●慎武宏(スポーツライター)
 
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。