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何もかもがすべてつながっている!

あのトリノから12年。人生とはすべてがつながっていて、すべてに光があって影があって、それをどこから見るかは自分次第なのだと感じさせられました。成田緑夢さん、平昌パラリンピックでの金メダル獲得。この金の輝きは12年前に強い影があったからこそ、一層眩しく輝いているような気がします。気がするだけですが、僕にはそう見えるのです。

新競技バンクドスラロームの会場には、成田童夢さんの姿がありました。父・祖母の姿もあったようです。「しくじり先生」にも出てしまうくらいに、派手に話題になり、派手にしくじったトリノでの成田家のいろいろ。まぁ、そりゃあもう、ヒドかった。それは偽らざるトリノの現実だったと思います。同じ姿をもう一回見せられたら、もう一回派手にSNSが燃え上がるでしょう。「国民的メロウセブン行事」でしたから。

ただ、アレはアレで鮮烈で、思い出深い出来事でした。あの日のアレがなかったら、こんなに緑夢さんのことが気になりもしなかったでしょうし、童夢さんの大ハシャギにグッとくるようなこともなかったでしょう。物事にはいい面と悪い面が常にある。それをどこから見るかはその人次第、タイミング次第。金メダルの輝きの一部は、トリノで真っ赤に燃えた炎の照り返し。あの日、燃えたふたりは辛かったでしょうが、燃えたことで生まれた光もあった。そんな風に、今ならば思えます。



バンクドスラロームは規定のコースを3本滑り、そのベストタイムで争われます。緑夢さんは両足または片足に不自由がある選手の集うLL2クラスの1番滑走で登場。まず1本目は50秒17という好タイムで全体トップとなり、2本目へと進みます。迎えた2本目、緑夢さんはさらに攻めます。得意のスタートダッシュを決めると、パンピングと呼ばれる上下運動で加速をつけ、自身のトップタイムを更新する49秒61をマーク。1番滑走から後続にプレッシャーをかけ、他選手もタイムを更新するなかでトップをキープし、優位に立ってラストの3本目へと向かいます。

とは言え、優位は絶対のものではありません。3本滑ってベストタイムということは、3本目の最後の最後まで勝負はわからないということ。「勝てそう」と思うことで暫定トップが心理的には必ずしもプラスとは言い切れないところがあります。「俺以外のヤツ全員コケろ!」みたいな他人任せに走ってしまいがちな状況でもありますから。

しかし、「常に挑戦」というモットーは、器の小さい考えなど浮かび上がらせもしません。3本目、緑夢さんはさらに攻めます。多くの選手が苦しんでいる難しいバンクでは鋭く攻め込んだことで、手をつきそうになるほどバランスを崩しかけますが、耐えてさらに加速していきます。

自身のタイムを大きく上回って最後のバンクを通過すると、大きく手を振って抜重、加重を繰り返し、最後まで加速をつける動き。48秒68は全選手唯一となる48秒台でもあり、自身のタイムを大きく更新する圧巻の3本目でした。トップの選手がさらに自分を超えてくる、これは強いチャンピオンの勝ち方でした!

↓最後まで攻め切った!攻めたからこそつかんだ金!バンクドスラローム男子LL2クラス初代王者!


お兄さんの童夢さんも喜んでいる!

お兄さんがオリンピックに出た立派なお兄さんとして世界の舞台に帰ってきた!



ライバル選手も攻めて伸ばしてきた3本目の滑り。結果論ですが、緑夢さんが3本目でコケていれば、2本目までのタイムではメダルの色は銅でした。あのバンクで倒れなかったこと、倒れるギリギリまで攻めたこと、自分に勝たなければ得られない色のメダルをつかみ取った。これは五輪でもパラリンピックでも階級に関係なく、勇敢で素晴らしい勝利です。自分に勝った。相手に勝った。強かった。

それにしても素晴らしかったのはスタートやラストで決める上下動での加速。銅メダルに終わったスノーボードクロスでも、スタートでは常に先に立っていましたが、他選手に比して抜群の速さがありました。スタート地点の映像を目視で見ていくと、緑夢さんは最初の旗門のラインを3.6秒ほどで通過しています。銀メダルのエヴァン・ストロング、銅メダルのスールハマリ、4位のマイク・シェイいずれも3.7秒ほどで通過しており、ラインの違いは多少あるにせよ、スタートからのわずかな距離で緑夢さんが目に見える大きな差を生んでいることがわかります。

とにかく特徴的なのはパンピングの動作。ウェーブと呼ばれるコブのようなところに差しかかるたび、緑夢さんは伸び上がるようにしてボードにかかる荷重を「ボードが浮き上がるほど」まで一度抜き、頂点から下り始めるところで大きく沈み込んでボードに体重をかけていきます。こうすることでスノーボードは加速するのだそうです。ブランコで前後に体重移動するとどんどん振り子が大きくなるように、体重移動でどんどん加速する…そんなイメージなのだとか。

これはもしかしてトランポリンなのかなと思います。

緑夢さんはスノーボード、それからトランポリン、スキーハーフパイプ、さらにはウェイクボードなどさまざまな競技で活躍をしていますが、怪我のきっかけとなったのはトランポリンでした。練習中の事故で、左足がヒザから反対に折れ返されるほどの大怪我だったといいます。

トランポリンは台の反発を利用して跳び上がり、空中で回転などをして競います。空中の派手な回転に目を奪われますが、キモとなるのはいかに台を正確に強く蹴って跳び出せるかというところです。強く真っ直ぐに荷重をかけて台をたわませ、反発した台が一番大きく跳ね返ってくる瞬間に台を蹴って再び跳び出す。上下動と、一瞬のタイミング。パワーではなく感覚の勝負なのだそうです。

緑夢さんの大きな強みであるパンピングに、トランポリンで培われた感覚が活きているのではないか。ウェーブのたびにグングン加速する緑夢さんの強さを見ていると、ほかの選手とは別種の何かを持っているように思えてならない、それがトランポリンの感覚だったりするのかなと思うのです。

幼い頃、兄・姉と一緒に取り組んだスノーボードという競技で、身につけたトランポリンの感覚が活かされているとしたら、それは「人生」だなと思います。全部がつながっていて、ひとつも無駄なものはない。とあるタイミングでは「兄と姉」とのつながりでイヤな思いをしたかもしれませんし、「トランポリン」によって夢を絶たれたような気になる瞬間もあったかもしれない。

しかし、全部がつながって今がある。

全部がつながった今しか存在しない。

いろいろなことがタイミングによって意味合いを変えながら、すべてつながって今になる。そんなことを教えてもらったような気がします。

緑夢さんは多芸多才を発揮して、2020年は走り高跳びでのパラリンピック出場を目指すようですが、そこにもまたこれまでとこれからの日々がつながっていくのでしょう。東京での楽しみがまたひとつ増えました。そして、今は沈黙を守っているお姉さんも、立派な姉としてその舞台に立ち合えるような、そんなタイミングになるといいのになぁと、僕はしみじみと思うのです。

↓YouTuber活動がどっちに転がっていくか、そのハラハラ感も楽しみながら2020年に向かおう!



<やったらアカンけど攻めちゃいそうリスト>

「ドーピング検査の裏側全部見せます!」
「これからスタート!直前までLIVE!」
「1本目滑ります!レース中もLIVE!」
「これから怒られるみたいなので記録を兼ねてLIVE…」
「メッキかな?メダルを半分に切ってみた」
「ふりーめだる!触って、舐めて、揉んでみて!」
「メダルっていくらで売れるの?試しに売ってきた」
「総額???万円!メダルを売ったお金で焼肉へGO!」
「悲報 焼肉屋のメニュー全部食べるまで帰れまテン」
「緊急LIVE!ゲストと一緒に焼肉!誰かすぐキテ食べ切れない」
「今だから言える!兄とトリノ五輪マジ観戦&マジ説教」
「兄が突然曲を作ってきたので何故か僕が歌います」
「姉」

YouTubeは攻めなくていいと思う!

緑夢さんも可燃性の素質はあるはずだから!

世間の心はめっちゃ狭いので、今はとにかく穏便に!



お兄ちゃんプロデュースでお姉ちゃんが唄う応援歌とか作ってみない?