JALが民泊事業に本腰 百戦錬磨社と資本・業務提携、インバウンド事業など強化へ
JALが、民泊関連サービスを手掛ける百戦錬磨社への資本参加と、インバウンド事業や地域活性化事業における業務提携を発表しました。
第1弾商品は奄美で
JAL(日本航空)が2018年2月8日(木)、民泊関連サービスの百戦錬磨社(仙台市)への資本参加と、インバウンド(訪日外国人旅行者向け)事業や地域活性化事業における業務提携を発表しました。
「JALの出資比率は数パーセントで、出資額は数億円程度。出資は2017年に完了済です」(JAL 本田俊介国内路線事業本部長)とのことで、本田さんは今後、百戦錬磨の社外取締役に就任し、事業を本格化させます。
左からJALの上松可奈子キャビンアテンダント、百戦錬磨の上村康博社長、JALの本田俊介国内路線事業本部長(2018年2月8日、乗りものニュース編集部撮影)。
百戦錬磨社は民泊プラットフォーム事業や民泊運営事業、地域振興事業を手掛けており、同社とJALの既存ノウハウやリソースを活用し、民泊を使ったインバウンド事業と地域活性化事業を推進することが目的。その背景には、インバウンドによる宿泊ニーズの多様化や、2018年6月の住宅宿泊事業法の施行があります。
両社は地域の観光素材の掘り起こしや、JALの海外向けウェブサイトと百戦錬磨社の公認民泊予約サイト「STAY JAPAN」を使ったインバウンドの地域送客、JALの航空券予約サイトなどを使った販売チャネル連携などによる相互送客の3点を軸に、今後ビジネスを進めていきます。
業務提携後の具体的な取り組みは、その第1弾として、世界自然遺産登録を目指す鹿児島県・奄美エリアで地元自治体と連携し、エコツーリズム(観光や旅行を通じて自然保護や環境保全への理解を深める旅行)と民泊を掛け合わせた商品を開発予定です。開発に向けて、両社は地元民に向けたセミナーを開催し、同地で民泊への周知を図りながら、おもに欧米のハイソサエティな層に向けて、空き家や古民家を使った民泊事業を展開するといいます。
百戦錬磨「日本航空と地域と三位一体になる」
8日に行われた会見でJALの本田俊介国内路線事業本部長は、2030年までに日本国内の生産年齢人口が2018年現在より800万人減る一方、2020年までにインバウンドが4000万人に達することを指摘。現状における受け入れ体制に問題があるとしました。
会見にのぞむJALの本田俊介国内路線事業本部長(2018年2月8日、乗りものニュース編集部撮影)。
また、百戦錬磨社と提携した理由について、本田さんは「異業種という『横軸』を通すことで、JALに新たな価値を生み出す必要がありました。百戦錬磨さんは、合法物件のみを取り扱う民泊サイトを運営しているため安心感がありました。また、体験型の民泊を取り扱っているため、地域の課題解決していこうという、JALの『大義』と重なりました」と話しました。
百戦錬磨社の上山康博社長は、「当社の社歴は6年と浅いが、合法民泊のパイオニアという自負があります。(2018年)6月15日の住宅宿泊事業法がスタートすることで、闇民泊も削減できます。ルールを守って民泊を活用すれば、地方経済の活性化も図れる。日本航空と地域と三位一体になり、新たな需要を作っていきたいです」と述べました。
【画像】2社の協業による地域活性化モデル
2社の協業による地域活性化モデル(2018年2月8日、乗りものニュース編集部撮影)。