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高橋書店が11月22日に発表した「働き方改革」のアンケート調査で、長時間労働の改善に取り組む企業の4割が「ジタハラ」(時短ハラスメント)被害に悩んでいると回答している。

高橋書店によると、「ジタハラ」とは、現場を知らない上司などから、長時間労働の解決策がないまま、「残業をするな」などと強制的に仕事を切り上げさせられ、部下がプレッシャーに感じてしまうものだという。

今回の調査では全国のビジネスパーソン730人が回答。53.4%で働き方改革がおこなわれていると回答した。働き方改革がおこなわれていると回答した人のうち、「働ける時間が短くなったのに、業務量が以前のままのため、仕事が終わらない」と41.5%が回答。「会社での残業ができないため、仕事を家に持ち帰っている」との回答も16.1%あった(複数回答)。

また、最近では、ドローンが退勤時間に職場を飛び回り、蛍の光を流しながら退勤を促すサービスも登場している(大成やNTT東日本など)。カメラで撮影した映像から、誰が残っているのかを把握することができる。この仕組みも、うまく使えればいいのだが、業務改善を伴わないと、「ジタハラ」になりかねない。

労働環境改善や業務改革の取り組みがないままに「早く仕事を終えろ」と従業員に迫ることや、その結果、サービス残業を生み出してしまうことには、法的にどのような問題があるのか。白川秀之弁護士に聞いた。

●上司も含めた労働者全体で、業務の改善を図るべき

「上司が、例えば、業務改善を行わずに、時間内に業務を行えない場合には評価を下げると言ったり、自宅での作業をさせるといった命令を出したりすれば、場合によってはそれがパワハラに該当する場合もあります。

また、程度がひどくなれば上司、会社に対して損害賠償をすることができます。自宅での業務を命じている場合には、労働時間と評価される場合もありますが、そうなっては、本末転倒といえます」

労働者の能力の問題だ、と言われてしまった場合だどうなのか。

「時間外労働が減らないから直ちに労働者が能力不足とされても、時間外労働が減らない原因には様々なものがあるので、それだけで、労働者の評価を下げたり、給与を下げたりすることが肯定されるわけではありません。そのような上司の評価にはきちんと、不服を述べておくことが必要です。

本来であれば、残業抑制を契機に、上司も含めた労働者全体で、業務の改善を図り、単なる業務改善で対応できなければ会社に対して人員の増員や業務量の削減などを求めるべきです。その方法として労働組合の団体交渉も有効な手段だと思います。これまでのやり方をあらためるのはどの業界でも大変なことだと思いますが、立場の弱い人にしわよせがよらないようにしていく必要があります」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
白川 秀之(しらかわ・ひでゆき)弁護士
2004年、弁護士登録。労働事件が専門だが、一般民事事件も幅広く扱っている。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会委員。
事務所名:弁護士法人名古屋北法律事務所
事務所URL:http://www.kita-houritsu.com/