難しい判断の末に采配が当たったヴォルフ監督(右)と、そんな指揮官の期待に応えた浅野。どちらにとっても嬉しいゴールだったことだろう。 (C) Getty Images

写真拡大

 ブンデスリーガ第13節のハノーファー戦で、24分に味方のミドルシュートからのこぼれ球を詰めてシュツットガルトに先制点をもたらした浅野拓磨。出場11試合目にして、待望のブンデスリーガ(1部)での初ゴールを決めた。
 

 この試合、浅野は今シーズン6試合目となるスタメン出場を果たした。ギンチェクら攻撃選手が多く負傷しているシュツットガルトだが、身長192センチのテロッデを差し置いて173センチの浅野がCF(センターフォワード)で起用されたことを、ドイツ・メディアは驚きをもって報じている。
 
 シュツットガルトの地元紙『Stuttgarter Nachrichten』は「浅野はハノーファーで大変な時を過ごした。196センチのCBサネと対峙したのだから、それも不思議ではない」と綴っている。
 
 しかし同紙は、結果的に「浅野にとって悪い夜にはならなかった」「小さな日本人はサネを打ち破った」とし、その要因として「『ジャガー』の愛称を持つ彼は、とても速い足を持っていた」ことを挙げている。ゲントナーのミドルシュートをGKチャウナーがこぼしたところを詰めた場面では、まさに“速さ”が活かされた。
 
 この試合について「スピードと相手への厳しいプレッシャーによって、とても良い前半となった。このまま勝利できればなお良かったが、アウェーで初めて勝点を奪えたことは非常に嬉しい」と振り返ったシュツットガルトのヴォルフ監督は、浅野のCF起用については以下のように説明している。
 
「ハノーファーはマンマークが厳しい反面、スペースを空けてしまう傾向があるので、タクマのスピードを活かして、そこを衝きたいと考えた」
 
 チームにはCFが本職のテロッデも控えていたが、ヴォルフ監督は「厳しい決断だったが、彼はこれを受け入れてくれた」と明かした。テロッデはこの試合、73分に浅野との交代でピッチに登場している。
 
 浅野はCFとしてプレーしたものの、ブレカロ、エズジャンらと頻繁にポジションを入れ替えることによって相手DFを混乱させたということで、『Stuttgarter Nachrichten』紙は、ヴォルフ監督の采配を「正しかった」と評価している。