話題を呼んでいる「お一人様用ハンディ炊飯器」

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いま、家電業界でちょっとしたトレンドになっているのが「お一人様用」の製品だ。家族での利用を前提に、あれもこれもと機能を詰め込んだ大手メーカーの逆を行き、使いやすいサイズ感、シンプルな操作性を売りにした製品が、一人暮らしや少人数の家族のユーザーに受け入れられている。

そうした中、サンコー(東京・千代田区)が売り出した「お一人様用ハンディ炊飯器」(税込4730円)が、好評な売れ行きを記録しているという。

同時にレトルト食品も温められる

「初回入荷分がすべて売り切れまして......今現在は在庫がなくなり、入荷待ちの状態です」

そう語るのは、「サンコーレアモノショップ」の広報担当者だ。

「お一人様用ハンディ炊飯器」は、一見すると2段式の弁当箱によく似ている。サイズも、縦幅22.5センチ、横幅13.5センチ、高さ15.5センチ(重量は1キロ)と、少し大きめの弁当箱ほどである。

ふたを開けると、そのまま食器として使える容器が2つ収まっている。炊ける量は一つあたり最大0.65合で、ちょうどご飯一杯分ほど。2つとも使ってご飯を炊いてもいいし、片方をレトルト食品の温めやゆで卵、温野菜、味噌汁作りなどに使うこともできる。

おかずも一緒に作ることで、この炊飯器ひとつで一食のランチになる、というのがポイントです」(担当者)

「お一人様用」の小型製品、あるいは持ち運びが可能な炊飯器具はほかにもあるが、その双方を兼ね備え、弁当箱大に小型化したものはあまり例がなく、「ほかにはないサイズ」だと担当者も胸を張る。

大きな炊飯器では「食べきれない」

「お一人様」をターゲットにしたコンパクトな家電はここ数年、注目を集めるジャンルだ。特に最近ではエスキュービズム(東京・港区)などの新興メーカーが積極的に進出、メディアでも取り上げられる機会が増えている。

ユニークなアイデア商品で知られるサンコーでも、お一人様用の「洗濯機」や「こたつ」などを手掛けるなど、この層のニーズには着目しており、今回の炊飯器発売につながったという。

2017年9月11日、東京・秋葉原の直営店やネット通販などで販売開始すると好評を呼び、「数千個」の初回入荷分がすべて売り切れた。現在、11月下旬分の予約を受け付けている。

ヒットの背景には何があるのだろうか。担当者は、「炊き立てのご飯が食べたいビジネスパーソンや、一人暮らしの方」などが購入者の中心だというが、こうも話す。

「若い方が多いのですが、年配の方も、大きなサイズの炊飯器ですと食べきれない、ということで買って行かれる方がおられます」

若者と高齢者、「お一人様」需要はその両極に広がっているようだ。