日本代表(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

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日本代表を強化するのなら、ホームで戦ってばかりではいけない。海外で試合をして経験を積むことが大切となる。だが実際、日本代表が海外で試合をするのにはいくつものハードルがある。

日本の実力は、まだいろいろな国から招待が続々届くというほどではない。ではどうするか。ブラジル戦のように、海外で日本サッカー協会が自分たちの主催ゲームを開くのだ。ブラジル戦は、フランスで開催されながら日本の「ホーム」ゲームだった。

当然、国内開催とはいろいろな差がある。目に見えない部分の苦労があってこそ、海外での試合開催が可能となる。試合運営にあたった日本サッカー協会コミュニケーション部の倉田研太郎氏はこう明かした。

「日本だと人手があって細かいところまで分担ができているのですが、海外では確実に人手が足りません。なのでより事前の準備が大切でした。普段なら気にもしない作業をやらなければいけない。たとえばミックスゾーンのセットだったり、会見場でマイクがセットされているかとかなどですね」

「一番大変なのは、現地のスタッフを適切に動かすということかもしれないですね。スタジアムの方々、現地の警備の方々、みなさん一生懸命やってくださるのですが、我々の感覚とは違う部分があるので、そこは説明しなければいけないですね。それにこちらのやり方も違いますし。たとえば、こちらでは試合中も警備がピッチの周りをぐるりと囲っていますから」

「この試合は我々の主催ですが、ブラジルも看板を出したりしていますので、彼らも彼らのやり方を通したい、主張したいという部分もありました。だからカメラの並び、放送権を持っている人たちと持っていない人たちの扱いの差だとか、そういったところを普段以上に気をつけ、相手の意見も聞きながら日本のメディアとの利害の一致するように調整しなければいけません」

「これまで海外で日本の主催ゲームを開催したこともあるのですが、国もスタジアムも違って、前回の経験が直接生かせるわけではありません」

同じく運営として動き回っていた種蔵里美さんはこんな苦労もしたそうだ。

「日本とブラジルのメディアだけじゃなくてフランスのことも考えなければいけませんでした。ただ、ブラジルはブラジルサッカー連盟が、フランスは地元のプレス協会がとりまとめをしてくれました。それでも、会見での言語一つを取ってもどうするかということが必要でした」

そんな苦労はあるのだろうが、日本代表の強化にとって、やはり海外での試合は必要だ。そのことは倉田氏ももちろん理解している。さらにこんなことも語っていた。

「チームが海外で試合をすることで強化を図れるというのもそうですが、運営としてもいろいろな経験値を積めるというのはあります。海外でできれば日本でもっとできるということになりますから」

日本代表とともに日本サッカー協会も世界に通じるスキルを身につけようとしているのだ。

【日本蹴球合同会社/森雅史】