酒井宏樹(撮影:Noriko NAGANO)

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出場実績から言えば、ワールドカップ「当確」という選手が2人いる。1人は吉田麻也で、現在23試合連続で先発に名を連ねている。そしてもう1人、アジア3次予選以降で出場停止となった1試合を除いてすべて先発している選手がいる。それが酒井宏樹だ。

2014年ブラジルワールドカップで獅子奮迅の働きを見せた内田篤人が負傷して以来、日本は様々な選手を右SBとして試してきた。原口元気まで右SBでプレーされられたほどだ。だが、ワールドカップまでもう少しという最後の難しい局面からは、酒井宏がヴァイッド・ハリルホジッチ監督のファーストチョイスになり、予選の期間中ずっと変わらなかった。

では酒井宏は誰をライバルだと思っているか。その質問をすると酒井宏は困った表情になった。

「もともと僕は誰がライバルとかそういうのは思わないタイプなので。(所属のオリンピック・)マルセイユでも同じポジションが3人いてローテーションしているんですけど、それに対してあまり何も思わないんです」

日本代表というシビアな場でも、酒井宏は優しさが前面に出てくる。ワールドカップ出場への野望はどうなのだろうか。

「代表というか、ワールドカップに向けてやってるわけではないので。しっかりクラブでやることが大事ですし、クラブで最後までやり切った結果がワールドカップで、クラブが自分にとって成長する場なので、そこで頑張っていきたいです。代表は成長するところではないから」

厳しく相手選手を追い込んでいく姿とは違い、酒井宏の考え方はいつも落ち着いている。だがハリルホジッチ監督が求めるクオリティに応え続けているのは、「デュエル」を重視する監督であるにも拘わらず、ピッチに立ち続けていることが証明しているのだ。

【日本蹴球合同会社/森雅史】