欧米では「Rのつかない月(5月から8月)に牡蠣は食べるな」ということわざがあり、日本でも知られた言葉ですが、まさに海辺に行きたくなるシーズンです。そして、せっかく海辺に出かけたら、海の幸を食べてみたくなるのが人情というもの。

本当に夏の間は牡蠣を食べてはいけないのでしょうか。それから、「月曜日は寿司屋に行くな」とも言われますが、これは現代にも当てはまるのでしょうか。シーフードに関する新旧ガイドラインをチェックして、どのルールが時代遅れになっているか、現代にマッチする新しいルールにはどんなものがあるのか。また、どうしたら食中毒のリスクを回避しながら海の幸を堪能できるのか、見ていくことにしましょう。

季節に関するガイドライン

米国海洋大気庁漁業部のKate Broganさんは、「Rのつかない月」のルールができたのは、いくつかの理由があると言います。まず1つ目の理由は、夏は牡蠣の産卵期なので、牡蠣に含まれるグリコーゲンが産卵に使われてしまうから。グリコーゲンは牡蠣の体内に貯蔵された澱粉質で、甘味の元になっています。つまり、牡蠣本来の風味や食感が損なわれ、あまりおいしくなくなります。2つ目の理由は、冷蔵庫がなかった時代には、牡蠣は終日暑い日差しの当たるところに置かれていたので、食べない方が良かったからだそう。

「今は冷蔵技術が発達しているので、『Rのつかない月』を気にする必要はありません」とBroganさん。また、Rのつく月に牡蠣を食べても安全なのは、最近できた規制からも言えることです。アメリカでは午後に牡蠣をとるのを禁じる規制があり、この目的は牡蠣が日中の暑さにさらされるのを防止すること。ですから、夏場は牡蠣が一番美味しい季節ではありませんが、食べても病気にはなりません。

それに、この「牡蠣」は「真牡蠣」に関しての話で、日本でとれる「岩牡蠣」の場合は7〜9月の夏季が旬とされています。岩牡蠣は産卵量が少ないのと、真牡蠣と違って一気に産卵せず少しずつ産むため、むしろ産卵のために栄養を蓄えていて、美味しいのです。

とはいえ、「Rのつく月」のもう1つの根拠として、気温の高い季節には有害藻類が異常発生しやすくなることが考えられます。ただ、環境保護局によれば、最近は温暖化の影響で1年中発生しやすくなっています。植物プランクトンの中には有毒種があり、貝類がそれを食べ、さらにその貝を人間が食べてしまうという食物連鎖により、食中毒になることがあります。メリーランド大学医学部で沿岸地域における魚介毒の研究をしているLynn Grattan博士によると、こうした食中毒は、消化不良、体のしびれ、刺すような痛み、悪くすると軽い記憶喪失まで引き起こすことさえあるそうです。

貝類を食べるときは確かに注意した方が良いです。でも、だからといって夏場に貝類を食べてはいけないということにはならないとGrattanさんは言います。「有害藻類の異常発生には地域によってパターンがありますが、アメリカでは、長期的に毒素を含む魚貝類があります。ですから、異常発生が終わった後も、そうした魚貝類は有毒かもしれません」

確実なのは、国内で取れた魚貝類を選んで食べることだとGrattan氏は言います。「アメリカでは、魚介類の捕獲と流通に関して厳しい規制があり、有害藻類に関しても常に注意深く監視されています」消費者側も気をつけて管轄省庁の警報や規制に従ったり、レストランのメニューに書かれているアドバイスにしっかり注意を払ったりするよう、Grattan氏は勧めています。

有害藻類の発生は、海に面したすべての州と五大湖で報告されています。多くの州が地元に警戒宣言を発令しており、国立海洋大気庁は全国の有害藻類異常発生に関する早期警戒宣言をまとめたサイトを運営しています。こうした警戒宣言のシステムは完璧とは言えず、Grattan氏は「シーフードの消費がよくある症状を伴う食中毒の主な原因になっている」としています。でも、警戒宣言に注意しながら国内産のシーフードを食べていれば、年中貝類を食べても食中毒のリスクは低くなります。

曜日に関するガイドライン

Anthony Bourdainさんは2000年に発表した自著『Kitchen Confidential』の中で、「私は月曜日にはレストランで魚を絶対注文しない」と書いています。これが書かれた頃、ニューヨーク市では、魚市場が週末は休みになり、レストランは日曜日に新鮮な魚を仕入れることができなかったからです。ですから、月曜日に店にある魚は2、3日前のものである可能性がありました。彼のこのルールはあっという間に世間に拡散して、寿司屋やその他のシーフードレストランに日曜日や月曜日に行くことの賛否を論じる書き込みがたくさんされました。

しかし昨年Boudrainさん自身が、このルールは時代遅れだと発表しました。15年前に比べるとシーフードの需要ははるかに大きくなり、人々のシーフードに関する知識も増えたので、それに応じてレストランも仕入れのスケジュールを調整しているからです。「世の中は15年前にこれを書いた頃とはすっかり変わりました。今では、一般の人でも魚の外見や匂いで新鮮かどうか判別できます」と彼は2016年の『Business Insider』に語っています。「それに、魚市場も現況に応じています。ですから評判の良いレストランなら、何曜日に行っても大丈夫です」

食べすぎると水銀中毒のリスクが

とはいえ、シーフードを食べるときは季節や曜日にかかわらず、1つだけ注意すべきルールがあります。それはシーフードを食べすぎると水銀中毒のリスクがあるということです。メカジキ、マグロ、サメのような大型の捕食魚には重金属が蓄積しています。また、ブルーギルや縞スズキのような魚種には定期的に食べると人体に悪影響を及ぼすレベルの水銀が含まれています。

ですから、妊娠・授乳中の人はこうした魚は避けた方が良いでしょう。詳しくはこちらの食品医薬品局ガイドラインを参照してください。水銀中毒を専門とする医学博士のMichael Gochfeldさんによれば、週に何度も魚を食べる人は水銀中毒の兆候が見られるとか。「診察していると、『健康に良いと思って、何年も毎日1個ツナ缶を食べている』という患者さんがよくいるんですけどね」

Gochfeldさんは、魚を食べるのは確かに健康に良いけれど、せいぜい週に1回か2回にしておくべきで、それ以上頻繁に魚を食べる人は、魚に含有されている水銀のレベルによく注意して、水銀含有量の低い魚を選んで食べるようにすること。また、1食につき食べる魚の量は100g前後に留めておくようにとアドバイスしています。アンチョビ、イワシ、帆立のような小型の魚介は水銀含有量が特に少なく、ナマズ、サケ、テラピアも安全です。詳しくは天然資源保護協会などが出しているガイドラインをご確認ください。

Image: Suporn Thawornnith / Shutterstock.com

Source: University of Maryland School of Medicine, NCCOS, Business Insider, 食品医薬品局ガイドライン, 天然資源保護協会 

Reference: 山内鮮魚店

Rachel Riederer - Lifehacker US[原文]