林正儀氏(左3)と出川哲朗氏(左2)

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(嘉義 20日 中央社)国立故宮博物院南部院区(嘉義県、南院)は19日、先月、展示中に破損した江戸時代の伊万里焼「染付柳鳥文皿」について、漆や金などを使った「金継ぎ」と呼ばれる日本の伝統技法を用いて修復を行うと皿の借入先である大阪市立東洋陶磁美術館とともに発表した。割れた皿の継ぎ目を目立たなくするのではなく、金で装飾して残すことで、日本と台湾が共同で修復した記憶とすると同時に、文物を見に来た人々に日本の伝統的な修復技法について理解を深めてもらいたいとしている。

東洋陶磁美術館の出川哲朗館長は18日、故宮博物院の林正儀院長とともに割れた皿の視察と修復方法に関する話し合いを行った。出川館長は人為的な破損ではないと確認。割れた原因について、制作過程で胎土の圧力が均一になっていなかったのではないかと推測している。密閉された空間での自然破損は初めてだとしながらも、学術的貢献になるだろうと述べた。

出川館長は修復について、直すというより皿に新しい命を吹き込む意味があることに言及。金継ぎを行うことで作品の価値が高められるだけでなく、修復過程の記録が教育的成果にもつながるとしている。

林院長によれば、皿は9月に台北に搬送され、日本から専門家を招いて修復が進められるという。

割れた皿は2015年12月から始まった「出帆万里-日本伊万里磁器特別展」の展示品として南院に貸し出されていた。先月19日、日本側の学芸員の鑑定を経て、皿の胎土の脆弱さによる自然破損が主な原因であり、人為的あるいは自然災害による破損ではないと確認されていた。

(黄国芳/編集:楊千慧)