レース中に足を痛めて倒れ込んだウサイン・ボルト【写真:Getty Images】

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400mリレーアンカーで故障、各国メディアが騒然…引退時期に疑問の声も

 陸上の世界選手権(ロンドン)は12日(日本時間13日)、男子400メートルリレー決勝が行われ、今大会を最後に現役引退を表明しているウサイン・ボルトはジャマイカのアンカーを務めたが、レース中に足を痛めて途中棄権するまさかの幕切れとなった。人類最速男の悲劇のラストランを、世界各国メディアが衝撃とともに報じている。

 全世界が期待した加速は見られなかった。第4走者のボルトは先頭付近でバトンを受けたが、走り始めてすぐに異変が起きた。苦悶の表情を浮かべると、足を引きずるような素ぶりでコース上に倒れ、幾多の栄光を刻んできたトラックに突っ伏した。医療スタッフ、チームメートが駆け寄ってもしばし立ち上がれなかった。

 王者ジャマイカの威信を背負ったラストランで、ゴールインすら叶わず。100メートルでは銅メダル。5連覇のかかったリレーで有終の美を期待される中、スーパースターのよもやのラストランに、世界中に衝撃が走った。

 米地元紙「ワシントン・ポスト」電子版は「ボルトの輝けるキャリアは涙で終わる。ファイナルレースで怪我でダウン」と特集。「ウサイン・ボルトの際立ったキャリアはハートブレイクな形で終わりを告げた」と報じた。

 オーストラリア地元紙「ヘラルド・サン」電子版は「世界選手権 ウサイン・ボルトが最終レースで悲劇の終焉。故障で地に崩れ落ちる」と特集。「世界最速男が世界選手権に悲劇的な別れを告げた」とレポートしている。

仏紙「五輪3冠後に引退すべきだったのか?」、伊紙「最も騒々しいエピローグ」

 一方、フランス地元紙「レキップ」電子版は「ウサイン・ボルトが怪我でキャリアに幕引き。英国優勝」と速報した。そして、「ウサイン・ボルトはリオ五輪で3冠達成後に引退すべきだったのか? 1週間前には無意味な議論だったが、陸上界のキングの悲しい最後を見ると、こう振り返らざるを得ないだろう」と現役引退のタイミングを疑問視する分析を示していた。

 ドイツテレビ局「シュポルト1」は「怪我! 金メダルの代わりに、ボルトにドラマが」と特集。「ウサイン・ボルトは比類なきキャリアを栄冠とともに幕を下ろすことは叶わなかった。スーパースターは世界選手権決勝で故障した。悲鳴、事件。そして、全ては終わった。輝けるウサイン・ボルトのキャリアは壮大なドラマとともに終焉を迎えた」と報じている。

 イタリア地元紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」電子版は「ボルトは偉大な終焉を飾れず」と特集。「最も悲しいサヨナラ。最も騒々しいエピローグ」とレポートした。

 誰もが栄光のフィニッシュを予想した世界最速男のラストランの衝撃は、世界中に広がっている。