浦和は二度のリードを守れず。堀新体制で臨んださいたまダービーは2-2の引き分けに終わった。写真:サッカーダイジェスト写真部

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 [J1リーグ20節]浦和 2-2 大宮/8月5日/埼玉
 
 浦和レッズは興梠のPKで先制したあと守備に重心を置いて試合を進め、大宮アルディージャにチャンスらしいチャンスを一度も与えずにいた。実に4月16日のFC東京戦(〇1-0)以来、リーグ戦では14試合ぶりとなる無失点試合達成が現実味を帯び出してきた時、目を疑うようなミスから大宮にゴールを与えてしまった。
 
 66分、ホームチームが自陣の左サイドで得たFK。この日、本来ウイングバックが主戦場であるが、槙野の出場停止もあり左ストッパーで先発していた宇賀神がボールをセットして、中央の遠藤にパスを出す。
 
 ところが、遠藤はボールから目を離していて、このパスに気付かない。その隙に、先に動き出したマルセロ・トスカーナにインターセプトされ、横パスを受けたマテウスにあっさり振り切られ、左足のシュートを叩き込まれてしまったのだ。
 
 その後、両者1点ずつ奪い合い、2-2で引き分けた。ホームチームはこの4万5000人以上を集めたさいたまダービーでも悪い流れを断ち切れず、しかも……また再び不用意な自滅から失点した。
 
 パスの受け手だった遠藤は振り返る。
 
「ウガくんは『早くリスタートしようとしていた』と言っていたが、自分はゆっくり時間を使って始めればいいと考えていたために起きてしまった。審判のリスタートの笛と同時にパスが出されたが、そのタイミングでは始まらないだろうと思ってしまい……見ていなかった。もったいなかったです」
 
 66分という、リードしているチームは時間を使うべきか、早く攻撃に向かうべきか、ちょうど判断が分かれる時間帯であったことも関係したようだ。遠藤は唇を噛み締めた。
 
「ちょっとマテウス選手が(近くに)いたこともあり、最初(宇賀神からパスを)受けようとしたが、そこでゆっくりポジションを取り直そうとしたところで起きてしまった」
 
 一方、パスの出し手だった宇賀神も「前半から相手にノーチャンスだった。自分のイージーなミスさえなければ、勝てていた……。90分間、もっといい試合運ぶができていた」と、肩を落とした。
 
 そして、失点シーンについて説明した。
 
 宇賀神は1プレーずつ反省するように語った。
 
「セットしたあとロングボールばかりになっていたので、僕の意識としては、早めにリスタートして、後ろで一旦しっかりつなごうと……。だから早く切り替えて始めようとした。(遠藤)航のほうを一瞬見て、その時は大丈夫だと思ったけど、出した時には見ていなかった。そこは本当にイージーなミスだった」
 
 浦和の背番号3は、悔やんでも悔やみきれない様子だった。
 
「(課題だった)守備の部分はある程度改善されたが、そこに意識を持っていきすぎて、もう少し魅力的な攻撃をしていかなければならない。僕みたいにイージーな失点がなければ、勝点を積み上げられる。その手応えは感じられる試合になった」
 
 あまりに単純なミス。アイコンタクトをしたはずだったという思い違い。遠藤がボールから目を離していたというのも、現在のチーム状態から考えれば、絶対にしてはいけなかった「油断」になるだろう。

 堀新体制を白星で飾ることはできなかった。ここから浮上するためには、まずはそういった心の隙であり甘さを徹底して払拭したい。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)