サカナクションの山口一郎が、TOKYO FMのレギュラー番組に出演。夏の定番といわれる楽曲のイントロ部分だけを聴き、なぜ“夏感”が漂うのか検証しました。

(TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK! サカナLOCKS!」7月20日放送分)



皆さんは、曲を通じて夏っぽさを感じていますでしょうか?

夏っぽいイントロのイメージは、やっぱり爽快、スピード感がある、爽やか。あと、パーカッションが使われているとかね。パーカッションっていうのはコンガとか、サンバでよく使われるやつですよ。アフリカ民族の楽器ですね。そういう音も大事だね。それじゃあ、分析していくよ!

◆1曲目:「青い珊瑚礁」松田聖子

(イントロを聴いて)パーカッションが入っている……タカターン! ときて……夏の草原の上を白いスカートを着た女性が走って近づいてきている……はい、夏!

夏だねー。若い頃の聖子ちゃんが来たねー。この曲、1980年ってことは、僕が生まれた年ですよ。今と昔じゃ音楽的には夏の感覚が違うかもしれないね。あと、J-POPと映画界でも違うのかもしれないけど。

◆2曲目:「あー夏休み」TUBE

(イントロを聴いて)はい、パーカッション。ホーンからのパーカッション。リバーブが強い。(リズムが)これはサンバだね……はーい、夏だねー! 粘っこいギターソロから始まるんだねー。駆けていくねー。

まず斬新なのは、ギターソロから始まっていること。これは……夏だね。TUBEさすがですね。夏にリリースするってことは、冬に曲を書いているってことですからね。真冬にこの曲を書くってことは……ハワイとか行ったりするんですかね。サカナクションも「多分、風。」っていう夏の曲を書いたことがあるんですよ。この「多分、風。」とこの「あー夏休み」のギターソロは合うと思いますよ。つまり……キーが同じってことだね(笑)。TUBEさすがですねー。夏感を醸し出してくれますね。

◆3曲目:「Summer」久石譲

(イントロを聴いて)学校のチャイムだね。これは、大人に“あの夏は良かったな”って思わせる、大人が思い出す夏。景色が浮かびますよね。

◆4曲目:「島唄」THE BOOM

(イントロを聴いて)この沖縄音階ね。この7音と三線ね。もう夏っていうか沖縄。地域性として沖縄は夏だから、そこの音階を使うってだけで夏を想起させるっていうのは当然ですよね。でも沖縄音階っていうのを、沖縄に住んでいない僕らも認識しているっていうのは雅楽に近いですよね、沖縄の音楽はすごい地域性だと思いますね。

◆5曲目:「夏色」ゆず

(イントロを聴いて)はい夏だね。もうこの時点で自転車乗っちゃってるね。今気づいたんだけど、これ、スピッツの「スパイダー」と同じコード進行だね。最後のコードは違うけど。

ということは、スピッツにも夏感があるんじゃないかな。つまり、スピッツの清楚感や爽快感っていうのは、ある種夏なんだね。スピッツが作り上げた爽やかさみたいなものは、J-POP界でひとつの系譜になっているんですね。なるほどね。

◆6曲目:「花火」aiko

(イントロを聴いて)おー……あんまり夏感ないな。この後ですごい夏感が出てくるんだね。前半にあまり夏を感じさせないことで、後半の夏っぽさを増幅させるっていう手法なのかな。タイトルが「花火」っていうだけでも夏だからね。

◆7曲目:「楽園ベイべー」RIP SLYME

(イントロを聴いて)シェイカーが夏だね。コード進行も夏だね。そうね……めちゃくちゃ夏を感じるってことではないけど、シェイカーがあるっていう時点で夏っぽさは出てくる。あと、コード進行のメロウな感じも夏を感じさせるし、気だるさがあるね。「夏、だりぃ……けどまあ、遊ぶか」みたいな。

◆8曲目:「君と夏フェス」SHISHAMO

(イントロを聴いて)あー……これは夏フェスだね。今の若者たちの夏は夏フェスなんだね。だから曲のタイトルも「君と夏フェス」だったりするわけね。でもこれだけ夏フェスが主流になってきているのにも関わらず、TUBEみたいな “夏バンド”っていないね。どうしてなのかな。タイアップ文化だからかな。当時はCDセールスがあったから夏だけ活動していてもやっていけたけど、CDセールスが落ちてきて夏だけじゃ無理だっていうのと、夏の曲を冬に地方でライブすることができないからかな? いろんな要素がありますよね。

ちなみに先生(山口)が初めて買ったCDはB'zの「太陽のKomachi Angel」です。サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」も好きです。あれも夏ですよね。先生はサカナクションの「勝手にシンドバッド」が作りたくて、この曲を100回くらい聴きました。それで「アイデンティティ」を作りました。

コードとかテンポとかは違うけど、影響を受けています。でも「アイデンティティ」の歌詞は『アイデンティティがない 生まれない らららら』って暗いんですよ(笑)。夏フェスでこの曲をやると、夏感はあるんだけど『アイデンティティがない』ってお客さんが手を振っている景色はまさに一向一揆ですよ。そういったコンセプトを持って「アイデンティティ」を作ったんです。だから先生は、「勝手にシンドバッド」を聴くと夏を思い出すね。



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聴取期限 2017年7月28日 AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:SCHOOL OF LOCK!

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時:

月〜木曜 22:00〜23:55

金曜 22:00〜22:55

番組Webサイト ⇒ http://www.tfm.co.jp/lock/

<今後の予定>

7/24(月) go!go!vanillasが生出演

7/24(月) YAJICO GIRL「サラバ」初オンエア

7/25(火) 井上苑子が生出演