病と闘う双子姉妹(画像は『Lucy Fretwell  2016年5月22日付Facebook「Having the best weekend ever!」』のスクリーンショット)

写真拡大

世界で800人しかいないと言われる病を患う双子姉妹が北アイルランドに住んでいる。このほどその姉妹が、『The Sun』など複数メディアで「病気に人生を支配されたくない」と前向きに生きていることを伝えた。

北アイルランドのアントリム州バリーメナに暮らす26歳の双子の姉妹であるゾーイ・バクストンさんとルーシー・フレットウェルさんは、筋肉や腱、靭帯が骨組織に変化して硬化し、関節が固定されて動かなくなる遺伝子疾患「進行性骨化性線維異形成症(fibrodysplasia ossificans progressiva、 以下FOP)」を抱え、幼い頃からその病と闘ってきた。

ゾーイさんとルーシーさんは、その一般的な症状とされる足の指に小さな骨の塊ができて生まれてきたが、当時の医師らは双子の疾患に気付かなかった。体の異変が現れたのはゾーイさんが5歳の時だった。ソファから転落し肘を骨折したが、ギブスが外れた後に腕をまっすぐ伸ばすことができず、ゾーイさんは片腕が思うように使えなくなってしまった。実は骨が関節の隙間を埋めてしまい、固まっていたのである。その後、医師による複数の検査を受け、ルーシーさんともにFOPと診断されたのは8歳の時だった。

しかし両親は2人に病気のことを隠していたという。診断後の双子の姉妹は、「万が一怪我をするといけないから」という理由で自転車に乗ることやローラースケートをすることも、体育の授業に参加することもできなかった。11歳の時に、今度はルーシーさんが学校で転び、首の後ろを痛めてからは頭上に腕を持ち上げられなくなってしまう。一方のゾーイさんはスクーターに乗り脚を骨折し、元のまっすぐな状態に戻らなくなってしまった。後に2人はFOPのことを知り、両親と喧嘩になったこともあったという。

現在のゾーイさんは歩行に杖を必要とし、旅行などの遠出には車椅子を使用する。ルーシーさんは、自分がゾーイさんよりも多少動けることに時折罪の意識を感じてしまうそうだ。この先、FOPの症状が悪化すれば2人とも体の動きが失われることは必至だ。しかし今は、2人とも家族や愛するパートナーに人生を支えられながら生活している。

ファッションブロガーのゾーイさんは、17歳の時にオンラインで知り合ったマイクさん(29歳)と2012年に結婚した。「夫は私のことをいつも第一に考えてくれます。朝、服を着るのに1時間かかっても彼が文句を言ったことは一度もありません」と明かすゾーイさんは、近い将来マイクさんとの間に子供を持つことを望んでいるが、50%の確率でFOPが遺伝する可能性があるとのことだ。

一方でルーシーさんは、2015年に出会ったマイケル・スミスさん(27歳)と婚約し、来年に挙式の予定をしているが子供に関しては養子縁組を考えているという。マイケルさんは、毎日ルーシーさんの髪を洗うなど自分一人ではできないことを代わりにしてくれるそうだ。ゾーイさんもルーシーさんも互いに素晴らしく献身的なパートナーに恵まれている。

そんな姉妹は今、ロンドンで新薬の治験に参加しており、今のところ骨組織の増殖は見られないという。また同じ病と闘う人たちのミーティングにも参加している。ゾーイさんとルーシーさんは最後にこのように語った。

「どんな時でも私たちはお互いに支え合ってきました。将来のことを考えるとポジティブになるのが難しい時もあります。でも前向きに生きるようにしています。また同じ病を抱える人たちに会うことは、全員がその苦しみを知っているだけに励みになります。一生治らないと言われる病気ですが、それに人生を支配されたくはありません。」

画像は『Lucy Fretwell  2016年5月22日付Facebook「Having the best weekend ever!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)