萩野公介

写真拡大

今月15日より、ハンガリーのブダペストで開幕する「世界水泳」。今大会にさきがけ、10日放送、テレビ朝日「報道ステーション」では、リオデジャネイロ五輪400m個人メドレーの金メダリスト・萩野公介と、アテネ五輪&北京五輪で2大会連続の2冠を達成した北島康介氏による対談の模様を伝えた。

まずは先輩・北島氏の偉業について、「北島さんが残した成績というか道しるべ。そういったものは僕達後輩にとってものすごく心強い。だから、その舞台に行ったとしても物怖じというか、怖くなくレースに臨めている」と語った萩野。すると北島氏も、「ジュニア時代から注目されて、次、日本や世界で活躍するのは萩野だと言われている中で、彼から学ぶことも非常に多かった」と話しつつ、「苦しいことを苦しいと言わないでやり続けられる。僕はそれが本当にダメで。きちんと自分が目的とした記録、きちんと正確に刻んでいくことがサイボーグのようにできる選手」と表現した。

だが、この「サイボーグ」という表現に対し、「サイボーグだとイレギュラーに対応できない」と苦笑いを浮かべた萩野。昨年9月に右肘を手術し、今年レース復帰を果たすも、4月の日本選手権、5月のジャパンオープンと瀬戸大也に連敗。萩野本来の泳ぎを取り戻せていない歯痒さもあってか、「何かプログラムに組み込まれていないことが起きてしまったら、ビービービー、もう駄目です、みたいな」と自虐的に語った。

ここで進行役の松岡修造氏から「こいつ(右肘)がもっと良ければと思わない?」と訊かれた萩野。「もちろん、思わない時はない」と前置きするも、「感覚が2度と戻ることはないので、そこは諦めています。そういうもんだと思って泳いでいる」とキッパリ。それでも現役を続け、レースに臨む姿勢について問われると、「世界一を決めるところに僕いないで泳いでいるのは嫌だなって思います」と穏やかな口調ながらも、世界一のプライドをうかがわせた。

そんな萩野について、自身の現役時代もケガに苦しめられながら、それでも結果を残してきた北島氏は「見てくれる人がイレギュラー大好き。何か躓いたり、ダメだった時にどう克服して、次やれるかっていうのがすごい好き。彼にはそれが少し見えない」と指摘。「サイボーグなんだけど、そういう弱さも少しあるんだねって周りが思ってくれたり。そういう一面が見れると、もっともっと逆に見せることによって、自分らしくないって思うかもしれないけど、それが本当は力になったりする」と、同氏ならではのアドバイスを送っていた。

今月1日のフランスオープンに出場した萩野は、400m個人メドレーで優勝。翌日の200m個人メドレーでは、去年の同大会におけるタイムを上回るまでに復調。「世界水泳、僕は本気で応援していい?」という松岡氏に、萩野は「400m個人メドレーで一番にタッチする、勝つってことが一番の目標。それに向かって頑張りたい」と意気込んだ。