洪水の被害を受けた畑(手前)はほとんど復旧されていない(デイリーNK)

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昨年8月の台風10号(ライオンロック)で、未曾有の被害が発生した北朝鮮北東部で、多くの農地が未だに復旧されていない様子をカメラがとらえた。

デイリーNKが最近入手した写真は、北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)郡の三峰(サムボン)地区の最新状況を収めたものだ。

水害前、緑で覆い尽くされていた川沿いの畑に、作物が実っている様子はうかがえない。洪水が運んできた大量の土砂と砂利に覆われ、農作業を再開できないほど破壊されたものと見られる。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は「道内の田畑の3分の1が未だに荒れ地となったままだ」と深刻な現状を説明した。

山の中腹から頂上にかけて作られた個人耕作地も茶色のままだ。復旧が進んでいないのか、あるいは当局の個人耕作地を没収して植林する方針に基づき、耕作が禁じられているのかはわからない。

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北朝鮮では毎年春になると、前年の秋に収穫した穀物が底をつき深刻な食糧不足(春窮期)に陥る。例年なら、麦の収穫が始まる6月には落ち着きを取り戻すが、今年に限っては水害復旧の遅れと中国税関当局の輸出規制で食糧不足が長期化するおそれがあるとも言われる。

情報筋は、被災者がようやく春窮期を耐えしのいだのに、飢餓の心配がなくならず心配だとも述べている。

北朝鮮で自然災害が起きると多くの場合、失政(人災)により被害が拡大することになる。