史上最年少日本一! 柔道家・阿部一二三が“男前”な本当の理由
ネット上では「イケメンすぎる」「マッチョさがハンパない」などと言われる。柔道66kg級で東京五輪エース候補の阿部一二三。シニア日本一を決める「講道館杯2014」では史上最年少の高校2年生にして優勝。また同年には世界王者の海老沼匡を破り柔道界に大きな衝撃を与えた。現在は8月末に始まる世界選手権に挑む身だ。その柔道スタイルは一本勝ちが多いことでも知られる。「圧倒的な力で優勝する」。自らのこだわりを、阿部はこう言い切る。男前なのは外見だけじゃない。その内面のカッコよさを今ここに。
撮影 岸本勉 中村博之(PICSPORT) 取材 柳川悠二 構成 編集部
ーー4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会に優勝して、世界選手権(8月@ブダペスト)の代表に決まりました。
だいぶ、落ち着いてきましたね。やっと世界大会の代表になれたかなって。やるしかないかなという感じです。地元の神戸のほうでは歩いていて、「アッ」みたいな感じの反応は多いですね。(大学のある)東京は人が多いんで、目立つことは少ないですけど。
ーー大学2年生で世界選手権代表というのは、順調なキャリアを歩んでいるように思いますが、ご本人としては、もっと早く出たかった?
できればもっともっと早く、出場したかった。高校3年生ですかね。そのときとかに出たかった。当時は自分の弱さが出て出場できなかったという感じでした。
ーー去年、リオ五輪の閉会式で、東京五輪に向けたPRビデオに登場しました。 阿部一二三という柔道家に対する大きな期待がある。どう感じていますか?
東京五輪、2020年ですか。自分が一番良い時期で、一番、期待されないといけないかなと。期待に応えるのが、ずっと応援してくれている人に対しての、恩返しというか。2020年は自分しかいないかなと思います。
ーー阿部選手が最初に柔道界に衝撃を与えたのは、2014年の講道館杯と、グランドスラム東京での優勝でした。当時高校2年生で、いずれも史上最年少の快挙でした。良い意味で“なんだこのふてぶてしい男は”と思ったことを覚えています。柔道スタイルも豪快で。あれは元来の気質ですか?
あのときは正直、勝てるとなんか思っていなかった。心は絶対に負けないという気持ちなんですけど、どちらかというと、思い切ってやろう、自分の柔道をしようという思いが強かった。シンプルにがむしゃらにいこうという気持ちで。ひたすらに柔道を、試合をしようと思って。それが良かったかなと。
ーー一方で、2015年と2016年の講道館杯では意外なほどあっけなく負けてしまいました。
波があったというか…去年の講道館杯などでは、自分としては身体は動いていたほうだったんですけど、組み手のミスや、一つのミスで投げられてしまったり。甘さが出てしまった。負けてしまう要素を、やっぱりなくさないと。隙のない柔道をしないといけないかなと思いました。
ーー2015年(高校3年時)の講道館杯での敗北により、リオ五輪出場が事実上難しくなりました。そのときから柔道に対する取り組みが変わった?
取り組む姿勢は変わっていないですけど、より濃い稽古というか、いろんなことを考えて、稽古できるようになったかなと。もっと、技のキレとか、技のパターンを増やしていかないと海外の選手には勝てないと感じたし、いろんな面で、シニアに上がったときに、まだまだぜんぜんダメだなと思い知った部分があったので、それを課題としてクリアするために取り組んできました。
ーーしかし敗北以降、昨年開催されたグランドスラム東京を制して、グランドスラムパリ、そして全日本選抜体重別選手権と、負け知らず。
講道館杯だけじゃなくて、負けは高校生のときも経験しています。いろんなシーンで負けを経験して、それでも代表の選考に絡ませてもらっている。良い経験ができたかなって。早い時期に、濃い経験ができて、それが活きてきているのかな。今、柔道が安定しているかはわからないですけど、プレッシャーや期待に押しつぶされたりすることはなくなりました。
ーー兵庫の神港学園高卒業後は、関西の柔道の名門天理大に進むと噂されていました。しかし東京の日本体育大学を選んだ。関西を飛び出して心機一転、独り立ちしたいという面もあった?
ゼロからのスタートを望みました。関西に残ってしまうと、親も近くにいて、周りの友人もすごく近くにいます。そうはならないですよね。東京に出てくると、柔道の昔からの友達はいるとしてもその状況を作れる。東京オリンピックは東京で開催されるし、東京という場所は自分自身を成長させてくれるかなって。いろんなものを吸収できるかなと思って、東京に出て来ました。
ーーグランドスラム東京で優勝したときに、全日本男子の井上康生監督から、「大人になれ」といったことを言われていたと話していましたね。
大人になれというか、「柔道が強いだけじゃ、周りの人は応援してくれない。人としてもっと成長していかないといけない」ということは言われていました。それは僕だけじゃなくて、代表の合宿のミーティングとかでも言われていることなんで。もっともっと柔道だけじゃなく、人として尊敬されるような人になりたいなと思います。
ーー大学生活のことをお聞きします。今は柔道部の寮生活ですよね。自炊をしているのですか?
ごくまれに、ですね。寮の中で、食事がとれるようになっています。ある程度、栄養面を管理してもらって。自分で足りないな、と思ったら買いに行ったりもしますね。ヨーグルトだったり、フルーツは食べるようにしています。あるいは野菜が足りないと感じたらサラダを食べたりとか。身体のバランスというか、食事のバランスを考えて。実家にいたときは両親がやってくれて、バランスの良い食事がとれていたと思うんですけど、大学に入ると偏ってしまう部分はありますよね。
ーーふだんは何時間くらい練習を?
朝練が45分ぐらいで、夜が2時間。合計で2時間45分ぐらいですね。高校時代と違って、大学では短期集中ですよね。
ーー出稽古に行ったりも?
たまに行ったりします。警視庁もたまに行かせてもらうし、國學院も近いので、メンバーで行ったり。日体大の練習がないときに行ったりしていますね。行事があって、練習ができないときとか。
ーー休日は?
週に一度、日曜日ですね。
ーー何をして過ごすことが多いですか。
買い物に行ったりしていますね。同級生と行くことが多いですね。
ーー息抜きが買い物?
そうですね。ストレス発散というか。10代の趣味って難しいと思うんですよ。時間を費やすことができないじゃないですか。たとえば釣りが好きでも、移動しないといけないじゃないですか。一番は、服とかを買ったりですよね。
ーー音楽などは?
そこまで。この歌手が好きみたいなのはないですね。映画なら、たまに観たりしますね。みんなで寮で観たり。好きな映画は…難しいですね。洋画が多いですね。アクション系。激しい系。
ーーワイルドスピードとか?
あ、ワイルドスピードも今のところ、全部観ている。激しい、ソワソワする感じのやつが好きです。
ーーゴルフの松山英樹選手もワイルドスピードが好きなんですよね。共通するのかわからないですけど。
格闘技をやっているから、やっぱりそういう、ゾクゾクというか、興奮する系が好きかな。たまに恋愛系も。ほっこりする感じの作品も観たりしますが、どっちかというと、激しい格闘系。
ーーマンガはどうですか?僕らの世代だと、柔道家はみな、「柔道部物語」を読んでいた。
あ、読みましたね。2、3回ぐらい読み返しましたね。
ーー主人公の「三五十五」と、「阿部一二三」が重なるんですよ!得意技も同じ背負い投げだし。
アハハハ。どうなんですかね。名前が数字ですからね。一二三という名前は「一歩一歩進め」という意味です。三五十五みたいに、あんな背負い投げができるようになれば僕もいいんですけどね。刺激されるというか、すっげーな、と思う。柔道をやっていたら、誰もが三五十五とか、柔道部物語を読んで、絶対にマネしますよね。
ーー肩襟の背負い投げとか
ダハハハ。そうそう。絶対真似しますよね。あんなん見てしまうと。
ーー4月の全日本選抜柔道体重別選手権大会に優勝して、世界選手権(8月@ブダペスト)の代表に決まりました。
だいぶ、落ち着いてきましたね。やっと世界大会の代表になれたかなって。やるしかないかなという感じです。地元の神戸のほうでは歩いていて、「アッ」みたいな感じの反応は多いですね。(大学のある)東京は人が多いんで、目立つことは少ないですけど。
ーー大学2年生で世界選手権代表というのは、順調なキャリアを歩んでいるように思いますが、ご本人としては、もっと早く出たかった?
できればもっともっと早く、出場したかった。高校3年生ですかね。そのときとかに出たかった。当時は自分の弱さが出て出場できなかったという感じでした。
ーー去年、リオ五輪の閉会式で、東京五輪に向けたPRビデオに登場しました。 阿部一二三という柔道家に対する大きな期待がある。どう感じていますか?
東京五輪、2020年ですか。自分が一番良い時期で、一番、期待されないといけないかなと。期待に応えるのが、ずっと応援してくれている人に対しての、恩返しというか。2020年は自分しかいないかなと思います。
○衝撃のシニアデビューから世界選手権出場までの“挫折”
ーー阿部選手が最初に柔道界に衝撃を与えたのは、2014年の講道館杯と、グランドスラム東京での優勝でした。当時高校2年生で、いずれも史上最年少の快挙でした。良い意味で“なんだこのふてぶてしい男は”と思ったことを覚えています。柔道スタイルも豪快で。あれは元来の気質ですか?
あのときは正直、勝てるとなんか思っていなかった。心は絶対に負けないという気持ちなんですけど、どちらかというと、思い切ってやろう、自分の柔道をしようという思いが強かった。シンプルにがむしゃらにいこうという気持ちで。ひたすらに柔道を、試合をしようと思って。それが良かったかなと。
ーー一方で、2015年と2016年の講道館杯では意外なほどあっけなく負けてしまいました。
波があったというか…去年の講道館杯などでは、自分としては身体は動いていたほうだったんですけど、組み手のミスや、一つのミスで投げられてしまったり。甘さが出てしまった。負けてしまう要素を、やっぱりなくさないと。隙のない柔道をしないといけないかなと思いました。
ーー2015年(高校3年時)の講道館杯での敗北により、リオ五輪出場が事実上難しくなりました。そのときから柔道に対する取り組みが変わった?
取り組む姿勢は変わっていないですけど、より濃い稽古というか、いろんなことを考えて、稽古できるようになったかなと。もっと、技のキレとか、技のパターンを増やしていかないと海外の選手には勝てないと感じたし、いろんな面で、シニアに上がったときに、まだまだぜんぜんダメだなと思い知った部分があったので、それを課題としてクリアするために取り組んできました。
ーーしかし敗北以降、昨年開催されたグランドスラム東京を制して、グランドスラムパリ、そして全日本選抜体重別選手権と、負け知らず。
講道館杯だけじゃなくて、負けは高校生のときも経験しています。いろんなシーンで負けを経験して、それでも代表の選考に絡ませてもらっている。良い経験ができたかなって。早い時期に、濃い経験ができて、それが活きてきているのかな。今、柔道が安定しているかはわからないですけど、プレッシャーや期待に押しつぶされたりすることはなくなりました。
○たまに恋愛系の映画も観ます
ーー兵庫の神港学園高卒業後は、関西の柔道の名門天理大に進むと噂されていました。しかし東京の日本体育大学を選んだ。関西を飛び出して心機一転、独り立ちしたいという面もあった?
ゼロからのスタートを望みました。関西に残ってしまうと、親も近くにいて、周りの友人もすごく近くにいます。そうはならないですよね。東京に出てくると、柔道の昔からの友達はいるとしてもその状況を作れる。東京オリンピックは東京で開催されるし、東京という場所は自分自身を成長させてくれるかなって。いろんなものを吸収できるかなと思って、東京に出て来ました。
ーーグランドスラム東京で優勝したときに、全日本男子の井上康生監督から、「大人になれ」といったことを言われていたと話していましたね。
大人になれというか、「柔道が強いだけじゃ、周りの人は応援してくれない。人としてもっと成長していかないといけない」ということは言われていました。それは僕だけじゃなくて、代表の合宿のミーティングとかでも言われていることなんで。もっともっと柔道だけじゃなく、人として尊敬されるような人になりたいなと思います。
ーー大学生活のことをお聞きします。今は柔道部の寮生活ですよね。自炊をしているのですか?
ごくまれに、ですね。寮の中で、食事がとれるようになっています。ある程度、栄養面を管理してもらって。自分で足りないな、と思ったら買いに行ったりもしますね。ヨーグルトだったり、フルーツは食べるようにしています。あるいは野菜が足りないと感じたらサラダを食べたりとか。身体のバランスというか、食事のバランスを考えて。実家にいたときは両親がやってくれて、バランスの良い食事がとれていたと思うんですけど、大学に入ると偏ってしまう部分はありますよね。
ーーふだんは何時間くらい練習を?
朝練が45分ぐらいで、夜が2時間。合計で2時間45分ぐらいですね。高校時代と違って、大学では短期集中ですよね。
ーー出稽古に行ったりも?
たまに行ったりします。警視庁もたまに行かせてもらうし、國學院も近いので、メンバーで行ったり。日体大の練習がないときに行ったりしていますね。行事があって、練習ができないときとか。
ーー休日は?
週に一度、日曜日ですね。
ーー何をして過ごすことが多いですか。
買い物に行ったりしていますね。同級生と行くことが多いですね。
ーー息抜きが買い物?
そうですね。ストレス発散というか。10代の趣味って難しいと思うんですよ。時間を費やすことができないじゃないですか。たとえば釣りが好きでも、移動しないといけないじゃないですか。一番は、服とかを買ったりですよね。
ーー音楽などは?
そこまで。この歌手が好きみたいなのはないですね。映画なら、たまに観たりしますね。みんなで寮で観たり。好きな映画は…難しいですね。洋画が多いですね。アクション系。激しい系。
ーーワイルドスピードとか?
あ、ワイルドスピードも今のところ、全部観ている。激しい、ソワソワする感じのやつが好きです。
ーーゴルフの松山英樹選手もワイルドスピードが好きなんですよね。共通するのかわからないですけど。
格闘技をやっているから、やっぱりそういう、ゾクゾクというか、興奮する系が好きかな。たまに恋愛系も。ほっこりする感じの作品も観たりしますが、どっちかというと、激しい格闘系。
ーーマンガはどうですか?僕らの世代だと、柔道家はみな、「柔道部物語」を読んでいた。
あ、読みましたね。2、3回ぐらい読み返しましたね。
ーー主人公の「三五十五」と、「阿部一二三」が重なるんですよ!得意技も同じ背負い投げだし。
アハハハ。どうなんですかね。名前が数字ですからね。一二三という名前は「一歩一歩進め」という意味です。三五十五みたいに、あんな背負い投げができるようになれば僕もいいんですけどね。刺激されるというか、すっげーな、と思う。柔道をやっていたら、誰もが三五十五とか、柔道部物語を読んで、絶対にマネしますよね。
ーー肩襟の背負い投げとか
ダハハハ。そうそう。絶対真似しますよね。あんなん見てしまうと。