多くのサポーター、クラブに迷惑をかけて、僕にとっても久々となるこのホームゲームに強い気持ちで臨みました」
 
「いろいろな葛藤がありました。サッカーの神様が見てくれていると信じていました」

 すると、森脇から思わぬフレーズが飛び出した。
 
「どんなことがあっても、死ぬことはできない。苦しくても、森脇良太は『死なない』と心に誓い、サポーターやクラブ、それに大好きな家族に支えられ、力強く生きたいと思いました。僕を信じてくれている人がいる限り、突き進んで、全力で生きていきたいです」
 
 その発言は、周囲にいた人を驚かせた。そして誰かに支えられている=サポーターがいること。浦和サポーターであり、チームメイト、スタッフ、そして家族……その存在へ何度も感謝をしていた。
 
 浦和レッズの一員として、重要な戦いが続く。済州との激闘から中3日の6月4日には、J1リーグの暫定首位に立つ柏とアウェーで対戦する。再び上昇気流に乗るためには負けられない一戦だ。森脇はチーム力をもっと向上できると感じている。
 
「(済州戦は)3-0いう結果だが、内容がパーフェクトだったとは言えません。カウンターを受けるシーンもあり、しっかり突き詰めていきたい。今日のように球際で戦って、規律を持って守り、さらにステップアップできると思っています」
 
 この夜、ヒーローインタビューに立った森脇に、浦和サポーターからの恒例の『歓喜のブーイング』は起きなかった。大きな拍手と歓声に包まれるなか、顔を再びくしゃくしゃにした森脇がホームで再出発を切った。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)